最近「決断力」だとか「意思力」といわれるものについてよく考えています。
「スティーブ・ジョブズが毎日同じ服装だった」のは、人生での無駄な決断を減らして大事なことの決断にリソースを使うため、という話は有名です。
ごりゅご自身もこのエピソードは知っていたのですが、掘り下げていくと「decision fatigue」(決断疲れ)という言葉で説明される面白そうな研究結果がたくさん見つかったので、これに関してまとめてみたいと思います。
意思決定の数には限りがある
人が意思決定をできる回数には限りがあり、決断の回数を増やすたびに決断の「質」は下がり、先延ばしや優柔不断、決断の回避などに向かいやすいと言われています。
要するに人間の自制心や自己管理能力というのは意思力という「限られた資源」を消費するものだ、ということです。1
意思力というのは筋肉のように疲労し、疲労によってどんどん「質」が下がっていきます。
決断の質が下がると「トレードオフ能力の低下」が起こります。
何を優先して何を後回しにするのか。そういったことを合理的に判断することが難しくなり、どっちがいいかを選ぶときに「間違った判断」をしてしまいやすい。
こうやってトレードオフ能力の低下が起こることで「衝動買い」なども起こりやすくなるわけです。
深夜に気がついたら買い物をしていた、という現象はわかりやすく「トレードオフ能力の低下」から発生するものです。
他にも例えばスーパーのレジ前に置いてある商品。
これも買い物という「買うか買わないか」の決断を多数繰り返して「トレードオフ能力が低下」した状態で判断を迫ってくるもの。能力が低下しているので「間違って」購入してしまいやすい、というわけです。
決断を繰り返すことでエネルギーが枯渇し、だんだんと「選ぶことをやめる」という選択をしがちになってしまう、という点には注意しなければなりません。
日常に発生する「決断」の数々
ここまでは、割と誰もが直感的にも理解がしやすいものです。
ただ、日常生活において決断というのがどれほど頻繁に発生しているのか、ということにはなかなか気がつくことができません。
朝起きて、まだ眠い状態で起きるには、大きな決断力が必要です。朝ご飯の献立を考えて決めることも、もちろん決断。
もうこの時点でいくつも決断している!
仕事の最中は、もっと無数の決断が発生します。
仕事を1つ終えたら次に何をやろう、という「決断」をするし、そろそろお昼ご飯を食べなければ、と「決断」してご飯の時間に。
休憩時間にYouTubeを開いて動画を見る場合にすら「どの動画を見るか」ということを「決断」しなければなりません。
ごりゅごも、色々な決断について考えていたりしましたが「コンテンツの消費でも決断が起こる」というのは世界が変わるような発見でした。
YouTube見て「決断疲れ」が起こるなら、休憩が休憩にならなくなってしまうやん!
そういえばKindle本で「なに読もっかな」って決断に苦労することって結構ある!(悩むくらいならその時間読めばいいのに、って自分でも思ってた)
決断疲れというのは脳内のグルコースの低下と直結している2、という研究もあるので、休憩して、脳に栄養を送ってやればある程度回復するみたいです。
ただ、これも筋肉と同じような一時的な回復で、休めば全快になる、というものでもないわけです。
決断疲れへの対処は決断を最小限に抑えること
この「決断疲れ」に対処する最も有効な対処方法は「決断を減らす」ということです。
極めて当たり前のことしか言ってないんですが、これが一番有効な方法。
毎日の洋服を同じにする、というのが難しいならば、1週間分のコーディネートを「あらかじめ決めてしまう」
毎日の仕事は、一度じっくり順番を考えて、毎日同じ順番で繰り返す。
お昼ご飯も、1週間のローテーションを決めてもいいかもしれないし、先に献立表なんてものを考えてもいいのかもしれない。
「規則正しい生活」というのは硬っ苦しい生き方のように感じるかもしれませんが、実はこれは「無駄な決断をしないための生き方」だと考えると、日常をもっとクリエイティブに過ごすことができるようにも感じています。
ひとまずできる対策として、例えば以下のようなことがあげられます。
いろんなことを先に決めておく(決断を1回に減らす)
重要な決断は人を頼る(相談して負荷を減らす)
自分用のルールを決める(こういうときにはこうする、と決める)
規則正しい生活(次になにをするかを決断しない)
意思力に限りはないと「脳を騙す」
また、ここまでこんな話をしといてなんですが「意志の力はすぐにはなくならない」と考えている人の方が実際に意志力が尽きにくい、ということもあるそうです。3
この辺りのことも含めて、決断力、意志の力、選択肢を減らすなどということについては、引き続き考えて、またまとめていきたいと思います。