2023年の1月から、次の本の原稿を「30点の出来の文章で書いていく」ことを始めました(30点執筆術)
(ここのところずっと冬休みモードだったので)実際に書いた量は非常に少ないのですが、いまのところ比較的順調に「とにかく書き進めていく」ことが出来ています。
この30点執筆術、自分で名前だけはつけておきながら、きちんとまとめて説明をしている記事をまだ書いていないことに気がつきました。
30点執筆術 site:https://knowledgestuck.substack.com - Google 検索
ので、一度改めて30点執筆術とはどういうものなのかをまとめつつ、今再びそれを実践してどう感じているのか。そういうところをまとめたいと思います。
30点執筆術とは?
30点執筆術は、文章を書くときに「書けない時間」を可能な限り少なくすることを目的とした執筆術です。手法としてはさほど複雑なものはなく、わりと精神的な要素が大きな割合を占めています。
また、この方法自体は倉下忠憲さんの『バザール執筆法』から大きな影響を受けています。というか、このバザール執筆法に「自分なりの理由」を追加した方法だと言ってもいいのかもしれません。
何を書くかは書きながらでなければ考えることは出来ない
ごりゅご自身の経験や、身の回りで聞く話をまとめると、執筆で多くの人が困っているのは「書こうとしても書けないこと」です。「書く時間が足りない」のではなく「なにを書いたらいいかをまとめようとしてまとまらない」から書けない。その時間は文字通り「手が止まった状態」になっており、目に見える変化がまったく表れません。
『アトミック・シンキング』にも書いたように、人間は「頭の中だけで何かを考える」ことは不得意で、考え事を捗らせるコツは「書いて、書いたものを見ながら考えていく」ことです。
多くの人は気付かぬうちにこの最もよくない「手が止まった状態」になってしまい、手が止まっているがゆえにますます考えが捗らない、という負の無限ループに陥ってしまっているのです。
ならば、この「手が止まった状態」に陥らないような仕組みを考えれば執筆の苦労は大きく減少するのではないか。そうやって考えた方法が「30点執筆術」
30点執筆術では、上手に書くことなどは考えず、とにかく手が止まらないようにすることを意識して書けることだけを書いていきます。
考えがまとまるのはなにかを書いたときだけである。頭の中だけで「考えている」状態では考えは無限ループに陥って進まない。ですが、とにかくなんでもいいので文字を書き出せば、それにつられて少しずつ文章が生まれてきます。そうすれば、次は生まれた文章を「見ながら書く」ことが出来るようになります。この文章は、仮にすべてを1から書き直すことになったとしても必ず「次に書く文章の土台」として役に立ちます。
止まらないために「上手に書けなくていい」と言い聞かせる
こうやって「確実に書き進める」ために重要なのは上手な文章を書こうとしないことです。
「最初に書くとき」というのは、まだ文章全体の構成がきちんと定まっていない段階です。その段階で、きちんとした構造を作りあげながら美しい文章も書こうとすることに無理があるのです。
なので、まず1回目は構造を固めるために書く。そして、ある程度文章の構造が固まってから、少しずつ書いてある文章を洗練させていく。これを繰り返すことで確実に文字量は増え、進んでいるという実感も得ることが出来ます。
とにかく最初は上手に書けなくていいと自分に言い聞かせて書き進める。その「自分に言い聞かせるためのフレーズ」が(自己評価で)30点の出来の文章を書く、というものなのです。
30点の文章なので、細かな表現や言い回しなどは気にしません。多少言いたいことが分かりにくくても、最低限の意味がわかれば30点くらいの出来にはなります。当然もっとわかりやすくするために文章の順番を入れ替える、なんてこともやりません。もっとわかりやすくする工夫は「次にやること」です。
最低限のルールは、30点の"文章”を書くことです。箇条書きにはせず、きちんと文末まで文章の体裁を整え、句点もつけます。書くのはあくまでも「メモ」ではなく「文章」です。
文章で書くからこそ「流れ」が生まれる。この「流れ」を意識できるかどうかが自分にとっての「読みやすい文章」のベースになるものです。ここが箇条書きだと(自分の場合は)流れを読み取ることが出来ません。
文章にすることが重要、というのは現段階では「ごりゅごの直感」であり、他の方がどのように感じるかはわかりませんが、文章で書くことこそが「アウトライン」でまとめることとの違いだと考えています。
文章で書く「ネーム」というイメージ
かつて『アオアシ』作者の方が文章でネームを書いている、という話をされていたのですが、わりとこの理由が、自分が30点で文章を書こうとする感覚に近いのかもしれません。
漫画『アオアシ』の作者小林有吾先生が独特なネームの描き方を自ら漫画で紹介「文字で読ませるは目から鱗でした」 - Togetter
結局、構成が固まる前に「細かいところ」に時間をかけてしまうと、それを修正するときに「無駄なことをしてしまった」という感覚を味わってしまいます。自分の場合、小林有吾さんと同じくこの「もったいない感じ」がいやなのかもしれません。
ただ、30点の文章だけで最初から最後まで全部をきちんとイメージするのは難しいのもこれまた事実です。きっと、書いていく過程で行きつ戻りつすることは何度も起こるでしょう。これをゼロにすることは不可能なはずですが、そういうことを「ゼロには出来ない」と理解できるようになったことこそが自分自身の成長なのかもしれません。
とにかくまずは「多少解像度が低くてもいいから全体がわかるものを作る」
そんなことを目指して、今は30点の文章を書いていっています。
なお、こんな感じで30点の文章で全体ができ上がったら、次は30点の文章を見ながら70点くらいの文章を「加筆修正しながら」作りあげていく、という方法を想定しています。その後、70点の文章を元にして最終版を作る予定。
実は、ナレッジスタック有料メンバーの方には70点の段階でPDFを作ってご覧に入れたいと考えてたんですが、30点の文章ができあがった段階で見てもらった方がいいことが多そうだ、ということに気がつきました。
ひとまずここに、現段階での30点PDFも添付しておきます。まだ自分でも読み返していない「書きっぱなしの文章」なので、ひとまずは「こんな感じで書いてるのねー」っていう距離感の、神の視点で変化をお楽しみいただけたら幸いです。
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