アトミックなノートを作ることに慣れてきた2022年は、ノート整理を次の段階へ進めることを目標に、新たな方法論を確立させるべく試行錯誤しています。
ノートをアトミックにして自分の言葉で書く、というのは日々の習慣として定着してきました。また、ノートを特定のテーマごとに集めて、思考を整理する(トピックノート)という方法論も、なかなかによい方法だと感じています。
問題は、これらのノートを組み合わせてもう一段階大きな話をしたいときにどうするか、ということ。
ニュースレターを書く(1000〜3000文字程度)のあれば、ノート2〜3個を並べて組み合わせることで、わりとスムーズに1回分の文章を書くことができるようになりました。(最近はだいたいそういう感じでこのニュースレターを書いています)
ただ、この方法だけでは数万字単位の「本」が書けるとは思えません。
Zettelkastenの解説をしている英語系のサイトを調べていると、よくZettelkastenを並べるだけで本が書ける、という「ほら、簡単でしょ?メソッド」で説明されている記事1が多いんですが、これを自分でやってみてもそんな簡単に本が書ける気がしない。
並べる「だけ」なんて全然思えなくて、どうやったらアトミックなノートから本ができるのかのイメージがつかめない。
構造は「作る」必要がある
この点についてはかなり「感覚的な要素」もありそうですが、自分の場合はそもそも、ノートを集めて構造を作るという意識や感覚というものが足りていないのではないか、と感じるようになりました。
How to Write a Book – Without Even Trying (so hard) • Zettelkasten Method
A Tale of Complexity – Structural Layers in Note Taking • Zettelkasten Method
上記の「並べたら本が書ける」と書かれた記事を改めて読み返し見ると、どうも「簡単」という言葉のニュアンスが違うっぽい。
本の目次を作るのは、大変です。大変というシンプルな言葉では表現しきれないくらい、目次を作るのはすごく大変なもので、一度ここの沼にハマってしまうと、無限に終わりが見えず、いつまでも沼から脱出できません。さらに、文字量が2倍3倍になると難しさは2倍3倍になるのではなく、指数関数的に「4倍、9倍、16倍」と難しさが増えていきます。
そういうことを考えると、本という大きなものを作るときにノートを小さな単位で「構造を意識して順番を集めて並べる」というのは、ゼロから目次を作ることと比べたら圧倒的に簡単です。
どうも自分はこの「簡単」という言葉を「なにも考えずにできる」くらいに思っていたのですが、どうもそうではないっぽい。ここで出てくる簡単ということばは「ゼロから本の目次をつくるよりずっと簡単」というだけなのではないか。記事を読み返して、そんなことに気がついたのです。
アトミック(原子)が集まったモレキュール(分子)なノートを作る
そこから色々と自分の感覚に合う方法論の言語化を試して見えてきたのは、アトミックなノートの次の段階、原子ではなく「分子」なノートを作る、という概念でした。
アトミックなノートが「一つのこと」が書かれたノートであるのに対して、モレキュール(分子)なノートは「一つのこと」を組み合わせて「一つの意味を持ったもの」になっていること。
分子(モレキュール)と原子(アトム)の違いは、分子は同じ原子の組み合わせでも「並べる順番やくっつきかたで性質が変わる」という特徴を持っていることです。2
Zettelkastenで言う「構造ノート」というのは「分子なノート」だと考えると自分の中でいろいろなことが理解しやすくなりました。
そして実際に、ノートを集めてきて、原子より大きな、意味のある小さなまとまりを作ろうとすると、原子なノートを作るよりも何倍も考えることが増えてきます。
ノートを並べようとしても、どうもノート同士の相性が悪くて組み合わせやすくするためにノートを再度修正することはよくあるし、分子なノートを作るために全部のノートを一から作り直す、ということも何回もやっています。3
なので、分子なノート(構造ノート)を1個作るのはアトミックなノートを作るよりも何倍も大変なんですが、本のような巨大な構造物をスムーズに造るには、この「原子→分子」の素材をため込んでいくことが一番シンプルで「簡単」な方法のように感じています。
現状、以下のようなノートがまあまあ完成が見えてきた「分子なノート」です。
💎Obsidianのタグ - ナレッジスタック - Obsidian Publish
☕コーヒーの自家焙煎 - ナレッジスタック - Obsidian Publish
これで決して「完成」なんてわけではないですが、こういう「分子」を作っていくことが今年自分がやりたいノートを作る過程の「次」のことなのかな。
この方法論などはまだ言語化するには自分の脳内整理が全然足りていませんが、これもまた今年のテーマとして、1年間「書いて考える」ということをやっていこうと思います。
How to Write a Book – Without Even Trying (so hard) • Zettelkasten Method ↩︎
有機化学の「高分子」をイメージするとより自分が考えている感覚に近いかも ↩︎
1年前に自分が作ったノートが下手くそだったので、それを修正している、というのも大きな理由の一つ。ノート作りが上達すればこの手間はかなり減るかもしれない。 ↩︎