2021年は、ライフスタイルが大きく変化した一年でした。ナレッジスタックやブックカタリストを始めて、日々の生活や意識が変わり、ここ数年ほとんど本を読んでいなかった生活からも脱却。デジタル一辺倒の生活を見直し、紙の本を読むようになったり、Apple Pencilを使った「手書き」を始めたりなど、自分の中の「次の10年」に向けて、よい変化をすることができたと思っています。
振り返ってみるとこれは、自分自身にとって10年ぶりくらいの大きな価値観のアップデートでした。そんなことを踏まえつつ、一年の始めのニュースレターとして、なんとなくそれっぽい、今年のテーマについて考えてみたいと思います。
一年の抱負や目標ではなく一年のテーマを作る
ここ数年、新しい年が始まると毎年その年の「テーマ」を決めています。(2020年は健全かつ健康な生活。2021年はゆっくり、丁寧に、少しずつ効率を上げる、など)
「今年の抱負」「一年の目標」と似たようなイメージですが、抱負や目的ではなく意識的に「テーマ」という言葉を使っています。その理由は、テーマは「失敗しない」「ずっと続くもの」だから。
目標や抱負は、意識するかしないかにかかわらず「成功か失敗」という判断を伴います。対してテーマというのは「常に心の中に抱き続けるもの」なので、成功するとか失敗するなどという概念はありません。
ほとんどの人間は本質的に楽観的で未来を甘く見積もるので、1年の最初の計画や抱負は、できもしない「妄想」を抱負として掲げてしまいがちです。そして妄想で作り上げた抱負を年末になって振り返り「できなかった」と自己嫌悪に陥る。こんなことで意味のない自己嫌悪に陥るくらいならば、目標なんか作るのをやめて、テーマを作るという方針に切り替えてしまいましょう。
テーマを作るのであれば「失敗」はありません。また、よい意味でも悪い意味でも「ずっと残り続けるもの」なので、目標のように「達成できたらそれでおしまい」というものでもありません。
テーマを作るコツ
ごりゅごは、去年まではテーマを3つくらい考えてノートに書いていました。テーマは1個考えるだけでもいいんですが、慣れてないなら3つくらいあってもいいでしょう。
いきなり新しいこととして「今年のテーマを考える」と意気込んでも、1年間それを意識してみるというのはなかなかに「重い」ものです。いきなりそれがうまくなんていうのは当然簡単ではありません。あれもいいかもこれもいいかもって何個かテーマを考えてみて、よさそうなテーマを3つくらい書いてみる。そして、1年かけて一番しっくりきたものを残してあげる。なにも指針がないとダレてしまうけど、厳しすぎるのは負担が大きい。ちょうどその中間くらいの距離感で「これからのこと」を考えておくのが、精神衛生的にもスッキリします。
週に1回くらいテーマについて振り返って、なんかあわないなと思えばテーマなんて変えてしまえばいいし、しっくりくる言葉をもっと洗練させてみてもいいかもしれません。
ごりゅごの場合、去年はテーマを3つ考えたんですが、その中で「ゆっくり、丁寧に、少しずつ効率を上げる」というのがやたら気に入ったので、途中からは他のテーマはほっといてこのことだけを意識するようにしていました。
基本的にテーマを考えるのも「ゆっくり」でいいと考えています。365日も使い続けるものを、1日やそこらで決断するなんてのはナンセンスです。1ヶ月間テーマを考えたってまだ早いくらい。なんなら最初の1年は「1年のテーマを考えることを意識する」なんてものでもいいのかもしれません。
なお、ごりゅごcast(Podcast)では、2021年1月28日に「今年のテーマが決まったぞ」っていう話をしています。
600.【今からでも遅くない】2021年のテーマの決め方とその理由 by ごりゅごcast
そのくらいの距離感で、抱負とは違う、持続性のある「テーマ」を考えてみてもよいんじゃないでしょうか?
あとがき
この記事を書き終えたタイミングで、妻haruna1221がかなりこれと似た記事を書いていました。
夫婦で考えが似てくるというのはよくあることだとは思いますが、ここまで同時に内容がかぶるようなことはなかなかないことで、ちょっと驚きました。
Scrivenerを使い始めました
去年の終わりにブックカタリストのアフタートークで倉下さんと話をしていて、Scrivenerという総合執筆ツールがいいよ、という話を聞きました。
ごりゅごは、Scrivenerがバージョン2の頃に『たった一度の人生を記録しなさい』を書くことに使って以来触っていませんでした。
当時からScrivenerというのは「できることは多いけど機能がごちゃごちゃで難しい」ソフトでしたが、それは改めて使ってみても今も変わってないな、というのが正直な印象でした。
ただ、今はScrivenerの日本語解説本が出ていて、これさえ読めばだいたいのことはわかるようになった、というのが大きな違いです。
『考えながら書く人のためのScrivener入門[ver.3対応 改訂版] 小説・論文、レポート、長文を書きたい人へ』
年末年始はこの本を読みながらScrivenerを触ってみる、というのに明け暮れて、今年からはナレッジスタックもScrivenerで原稿を管理する、って言うのをやってみようと思っています。
もともとScrivenerを買った目的は、本を書くのに一番しっくり来るツールがなかなか見つからなかったから。エバーグリーンノートとかLink Your Thinkingの概念をまとめた本をKDPで作ろうと思ってるんですが、実際に書こうとしてみると、なかなかに難しい。アウトライナーで「目次」を考えても、そこから実際に文章を書こうとするとまた順番を変えたくなって、という感じの悩みは、Scrivenerに慣れたらある程度は解消できそうだな、という目処は立ちました。
また、Scrivenerで書いた原稿は(cssの設定なども含めて)結構細かくカスタマイズしたepub、mobiファイルに変換することもできるみたいで、最初にきちんと設定さえすれば、以降は「本を作る」というワークフローはかなりいい感じで安定しそうです。
こういう新しいツールを覚えて、いろんなことを試すのは2021年のテーマのように、ゆっくり、丁寧に、少しずつ効率を上げる、ということに繋がることだと思うし「新しい価値観」をインストールしていくために「ずっと同じことをしない」という意味でもいろいろやってみないとな、と思っています。
縦書きで文章を書く
新しいことをやってみるつながりで言うと、去年末から「縦書きで文章を書く」ということも実験してみています。
1つは、紙の本をたくさん読むようになって縦書きの日本語というものを見直したくなったこと。また、縦書きの方が横長のコンピュータのディスプレイを有効に使って執筆ができるのではないかということ。また、縦書きと横書きで「書いた文章に結構違いが出るのではないか」ということなどが試してみた理由。
これに関してはまだ実験段階でなんとも言えないんですが、縦書きで書くつもりの本であれば、少なくとも縦書きで書いてみる価値はあるな、とは思得るようになりました。
Macでは、Aplle標準の「テキストエディット」や「Pages」で縦書きが使える他、今書いているScrivenerだとか、縦式というアプリなどが縦書きに対応しています。
Scrivenerを試してみる気になったのは、この「縦書きが(一応)できる」というのも理由の一つです。(細かい禁則処理などはできなかったりして、縦書きの機能のみで言うとegwordに劣る)
次回は、昨年のノートの話の続きか、今年のごりゅごのテーマ「役に立つことを学ぶのではなく好きなことを増やす努力をする」について、どちらかうまくまとまったほうをまとめてみたいと思います。
なお、1年かけて考えたナレッジスタックのテーマは「読むこと、書くことを通じて新しい価値観をインストールすること」です。週に1回を目標に、そんな風にお役に立てるニュースレターを目指していきますので、今年もよろしくお願いいたします。
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