読書メモの残し方、というのをこれまでとは根本的に違う仕組みに変えました。
大きなきっかけは『Learn Better』についてブックカタリストで語ったことでした。
BC011 『Learn Better ― 頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ』 - ブックカタリスト
何回もいろんなところで言ってるんですが、この本は「最初はまあ面白いくらいに思ってたけど、だんだん評価が上がって今は歴代1位かも」という評価になった本です。
また、ブックカタリストの中でも一番面白い話ができた、と感じている本でもあります。
この成功体験を踏まえて、何が良かったのか、ということを考えてみたら、これまでと大きく違うことがあることに気がつきました。
その違いというのは「苦労して本を読んだ」ことです。
読みながらメモをする
最近のごりゅごは、本は電子書籍でしか読んでいません。
電子書籍で本を読む理由は「ハイライトが簡単にできて」「後でそれを見返すのが楽」だから。
ですが、『Learn Better』は妻haruna1221が図書館で借りてきた紙の本。隣で妻が読んでるのを見て、自分も気になって読んでみた、というものでした。
図書館で借りてきている紙の本なので、自分がいつも読んでいる時とは色々な違いがあります。
電子書籍じゃないので、線を引いてハイライトしたりすることはできません。
借りてきた本なので、本に書き込みをしたり、付箋を貼ったりもできません。
こういういつもと違うことに、すごく「苦労」した記憶があります。
特に苦労したのが、本にハイライトができないこと。これができないと、読んで面白いと思ったことを覚えておこうと思ったら、メモを取るしかない。
『Learn Better』はいつもと違って、読みながら線を引くのではなく「読むと同時に気になったところを文章にしてメモをする」ということをやっていたのです。
さらに言うと、この本の読書メモは、本を返却した後に自分が書いたメモだけを頼りにまとめました。所々自分のメモが雑で、これって正確にはどういうことが書いてあったんだろう、って苦労しながらまとめていた記憶があります。
脳は苦労に対処すると伸びる
『Learn Better』の中では、ごりゅごが体験したそのまんまのことが書かれています。
脳は苦労に対処すると伸びる
テキストに線を引くことに学習効果はない
まさに自分が本に書いてある、そのまんまのことをやっているのに、そのことには後々になって気がつく、というこの状況。
特にハイライトに関しては、散々「テキストに線を引いても効果はないらしいよ!」ってPodcastでも自信満々に話していたのに、自分が本は読むときには同じことをやっていたというブーメラン。
一応言い訳をしておくと、自分の中では「線を引く」というのは「後でもう1回読んでまとめるための目印」のつもりで、線を引くだけで終わらせるつもりではありませんでした。
それでも、読みながら書くようになった今と比べてみると、線を引くだけよりも、メモを書きながら本を読んだ方が明らかに得られるものが多い。
メモをしながら本を読もうとすると、都度都度書いてあることをまとめる必要があるわけで、やはり「あ、ここ覚えておきたい」って線を引くだけと比べ「考える量=苦労する量」が全然違います。
また、単純に時間効率で見ても、実は「ハイライトしてもう1回見直す」よりも「メモしながら読んで、まとめるときにわからなかったら見返す」という方法の方が読書メモをまとめる時間は短く済ませられているようにも思います(同じ本で比較していないので正確にはわからない)
早く読む努力でなく上手に読む努力をする
本を読むというと「早く読む」だとか「たくさん読む」ことができることが偉い、みたいなイメージがあります。
ですが、読書の「スピード」や「冊数」などというものは目標にすべきではないし、そんなものを最適化する意味はありません。
最適化すべきは理解力と定着力。
そもそも、速読したくなるような本を読むということに、どれだけの意味や価値があるのでしょうか?
そんなものを読むくらいならば「よい本」を何度も読んだ方が遥かに有意義です。
大事なことは、早く読む努力でなく、上手に読む努力。
本を読んで、面白かったで終わらせるのではなく、それをいかに上手に自分のものにして役立てていくか。
「読むなら人に詳しく話せるようになるくらいしっかり読む」くらいのことを目標にして読んでみると、数冊読んだだけで明らかな変化が見えてきます(体験談)
この話、最初は「速読というのは生物学的に無理」ということを伝えようと思って書き始めたものでした。
ただ、速読の障害になる「サッカード」という眼球運動について調べてみると、こっちはこっちで中々に深い世界が待っていて、細かいところまで追いかけきれず。
サッカードという名の眼球運動が発生すると情報処理が遅くなる、ということはすでに実証されており、紙の本を速読する、というのは「実質不可能」らしいです。
ただ、それを克服するために「同じ場所」にテキストを素早く表示させて眼球運動なしで速読する、という方法なども研究されているようで、これが中々に難しい。(これはこれで、退行という「前に戻って読む」という現象が起こらず、理解が進みにくるのでは、などとも言われている)
とは言え、紙の本を物理的に素早く読むということは人間には不可能で、できることは「読み飛ばす」だけ、ということは知っておいて損はないと思います。
もちろん、多量の情報から読むべき場所を絞るということは、技術として可能で、それに価値はありますが、それは「速読」かというと、少し違うのかな。
また、もちろん読書の価値というのは「学ぶ」ことだけではないので、娯楽が目的ならばメモなんて取らない方が楽しめるでしょう。
そして最後に「そもそもよい本とはなにか」という答えを探すのが難しい大きな疑問も残りますが、それらについてはおいおい考えていきたいと思います。
『Learn Better』についてのPodcastは、学ぶ、ということの意味や価値、目的など、色々なことを話せたと思うので、良かったらこれも聞いてみてください。
BC011 『Learn Better ― 頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ』 - ブックカタリスト
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