2023年9月から、Obsidianで実践するアトミックシンキング、というシリーズの連載を進めています。このシリーズでは、アトミックシンキングを実践するための思想・哲学ではなく、具体的にどんなことをすればいいのか、というのを主眼にして考えていくシリーズです。
たとえば、デジタルノートObsidianの基本的な設定の話。また、日々の生活の中で実際にどんなことを実践していくといいのか。そんなことを少しずつ整理し、まとめていきます。
今回は、超シンプルな初期設定から始めるObsidianの続き。
上記記事で「超基本的なObsidianの設定」ができたら、次に目標にするのは「書くことに慣れる」こと。毎日Obsidianを使って、書くという行為を習慣にすることです。
ここでいう「書くことに慣れる」ことには、複数の目的があります。一つは、頭の中に思い浮かんだ「なにか」を文字に変換して記録することに慣れること。次に、頭の中に「なにか」が思い浮かんだ時に、それを半ば無意識で「書き残そう」と思えるようになること。また、Obsidianというデジタルノートに慣れていない場合には、デジタルツールに慣れることも目的だと言えます。
じゃあ、具体的に「書くことに慣れる」ためにはどんなことをやっていくといいのか。
まず「書くことに慣れる」ためにオススメの方法は、日記を書くようにすることとフリーライティングをすることです。(詳しくは『アトミック・シンキング』を参照)
Obsidianのデイリーノートにフリーライティングする
日記と、フリーライティングという2つの方法がありますが、日記を書くというのは多くの人がなんとなーくどういうものか想像できるでしょう。
なのでここではあえてテーマを絞り「Obsidianでフリーライティングをする」のをどうやって実践していくのかについて考えていきます。
具体的に、Obsidianでうまくフリーライティングを実践する時のコツは「デイリーノート」を活用することです。
前回紹介した設定がきちんとできていれば、Obsidianを起動するたびに今日のデイリーノートが自動で開くようになっています。
そして、Obsidianを起動して今日のデイリーノートを開くことができたら、細かいことは抜きにして「ひたすらフリーライティング」をやってみましょう。
目標時間は1日10分。それをまずは3日間続けることが目標。3日間続けられたら、その次は通算で30日間くらいを目標にして、ひたすらフリーライティングという行為に慣れていきます。
ポイントは「通算」で30日くらいできれば十分だと考えること。忙しくてできなかった日は気にしない。それよりも、できた回数を数えて、積み上がっていく楽しさを実感するのが「ゆるく長く続けるコツ」です。
ではもう少し具体的に、いつ、どのようにフリーライティングをやってみたらいいのか。
オススメは、朝一番に実践することです。1日の仕事を始める前に10分時間を確保して、Obsidianを開いて「今日は何をしようか」から書き始めてみましょう。
例:
今日はなにをしようか?今日は夜から飲み会なので、まずはそれにきちんと間に合うようにやるべきことを終わらせたい。
そうするとまずやりたいのは、デイリーノートに関する記事を書き終えることで、それを終わらせたら
次にやることは何があったっけ?
あー、iPhoneの設定終わらせたいんだ。ん?設定終わらせるって何するんだ?
こんな感じで、自分が思っていることを頭の中だけで考えるのではなくて、思いつく限りのことを文章の形式でひたすら書いてみます。
重要なのは、思いつく限りのことを「文章の形式で書く」ということ。書いた文章の変換をミスしてても、タイプミスをしてたりしてても気にする必要はありません。文章が支離滅裂でも全然問題なし。ひとまず、頭の中にあることを「文章」という形式で記述できればそれでオーケー。
逆に、よくないのはこんな感じのもの。
よくない例:
夜:飲み会
デイリーノートの記事書く
iPhoneの設定する
上記「よくない例」では、書いたものが文章の形式になっていません。これは「考えたことをそのまま書く」ことをしているのではなく(きちんと考えるのが面倒くさいから)思いついた単語をそのまま書いているだけ。
思考が支離滅裂なのは「ふつう」ですが、頭の中に浮かんだことを単語だけで終わらせてはいけません。支離滅裂でもいいから、文章の形式に変換すること。これが「書いて考える」ことができるようなるために重要なことです。単語やフレーズだけを書き残しても、それを見て自分が何を考えていたのかを振り返るのは困難です。
夜:飲み会、と書かれていても、それは、飲み会があるということを楽しみだと感じたのか、それとも単純に、開催場所や時間を確認しようと思っただけなのか。「単語」を書いているだけでは思考の流れをあとから追うことができません。
それに対して、考えたことを文章の形式ににしておくと、そこからさらに「考える」ことが行いやすくなります。
あー、iPhoneの設定終わらせたいんだ。ん?設定終わらせるって何するんだ?
みたいに「終わらせるって何をするんだ?」という疑問を浮かべられるようにすること。日常を、なにも考えずに過ごすのではなく、なにかを発見しようとする目を持って生きること。これもまた毎日フリーライティングをする大きな目的でもあります。
そうした、文章の形式での思考を誘導しやすいのが「今日何をしようか」という書き出しの仕方なのです。
「わかったつもり」という大きな壁
アトミック・シンキングは「わかったつもり」にならないようにするための思考法です。自分自身、昔はすぐに「そんなことはわざわざ書かなくてもわかる」と考えがちだったんですが、それがいかに「わかったつもり」であるだけだっことか。
自分が考えたことを「ちゃんと書くのがめんどくさい」と感じていたのは、簡単すぎてつまらないことに由来する「めんどくさい」ではありませんでした。実は、めんどくさいと感じる本当の理由は知的負荷が高いために脳がエネルギーを節約しようとして「めんどくさい」と感じるように仕向けている現象だったのです。
ようするに「頭を使うのが大変だからめんどくさいという言葉で頭を使わないようにしていた」ということ。
フリーライティングを実践すること、この感覚を「体で理解する」というためだけでも試してみる価値があるものです。
毎日10分、きちんと考えることに向かう。きちんとやってみればやってみるほど、フリーライティングというものの偉大さが実感できるはずです。
なおこのシリーズは、こうやってニュースレターで手法などを配信すると共に、Obsidian Publishを使って💎Obsidianを使ったアトミックシンキングの実践というページにも同時進行的に内容をまとめています。