Obsidianを使いながらアトミック・シンキングを学べる素材「アトミック・シンキング実践ワークシート」という名前の、Obsidianのテンプレートを作りました。
これはどういうものを目指していて、どんなことをやろうとしているのか。そんなことをまとめてみます。
Obsidianの「一歩目のつまずき」を減らしたい
2023年の終わり頃から、ナレッジスタック以外の場所でObsidianについての質問を受けたり、それに伴ってObsidianの便利な使い方について話したりするような機会が増えてきました。
そうした体験を通じて学んだのが、Obsidianを始める時の「第一歩」の問題。
Obsidianというツールは、なにかを学んでいくというその行為においてものすごく大きな可能性があって、なにかを学ぶ時の最強ツールだと思います。ただ、コンピュータに不慣れだと「学ぶための環境を整える」という一番最初の段階で苦労をしてしまう。
ここが、非常にもったいない(Obsidianを使ってほしいごりゅごとしても、Obsidianを使いたいと思っている人にとっても、どちらももったいない)
真剣なことを言うと、生成AIの重要度が増してくるこれからの時代だからこそ、基礎的なコンピュータの知識、コンピュータを使いこなす能力というのはこれまで以上に重要になってくると考えています。
もしコンピュータに不慣れな方がObsidianを使ってなにかを学びたいと考えた場合、まず学ぶべきことはコンピュータの基本的な仕組み、概念、操作を理解することだと思います。
ただ問題は、その基本的な仕組みを理解するためには、Obsidianの設定やObsidianの操作方法などをある程度理解していなければならない、という問題が生じてしまいます。
昔よく言われていた「服を買いに行くための服がない」みたいな状態。
それを解消するために「ある程度の設定がしてある状態のObsidian」「基本的な操作方法の解説」があれば、少なくとも第一歩でつまずく可能性を減らすことができるはず。
その第一歩を「アトミック・シンキング実践ワークシート」でどうにかしたいと思ってます。
Obsidianの「二歩目のつまずき」も減らしたい
次に課題になってくるのが、操作や設定の次の段階。「書いて考える」ことができるようになるために重要な情報整理の基礎となる部分です。
ごりゅごが数年間Obsidianを使ってみて強く感じたのは、Obsidianをうまく使っていくには「これまでとかなり違う感覚」でデジタルノートというものに向き合う必要がある、ということでした。
紙の情報の整理の仕方とも違うし、Evernoteなどのデジタルノートなどとも感覚が違う。
もちろん、ノートの使い方や、整理方法にルールなんてものはありません。究極的には、どんな使い方を仕様がそれは自由なものです。
とは言え、やはりツールにはそれぞれ特性があり、基本的にはその特性にあった使い方をする方が快適に使えることが多い。
そして、Obsidianの特性を活かして情報を整理し、活用しようとすると「情報整理」という概念に対しての考え方をこれまでとは変えていく必要がありました。
たとえば、紙とデジタルでは情報の永続性というものが大きく異なります。
もうちょっと具体的に言うと、紙のノートはある程度使い続けていると、いつか必ず「新しいノート」に移行して、古い情報をアーカイブすることになりますが、デジタルノートではそれが起こりません。
「ずっとすべての情報を保持できる」というのはデジタルノートの大きなメリットです。しかしそれは「なにがなんでも100%よいことだけではない」ことに気がつきました。
シンプルな言い方をすると、あらゆる情報が簡単に残せて、それをすべて残しておけるとなると、ノートは簡単にゴミ屋敷と化してしまうのです。
現実世界のイメージとしては、アメリカの「ガレージ」や日本の「蔵」みたいなもの。いつから残っているかわからない、役に立つのか役に立たないかも分かれない、でもひょっとしたら重要かもしれないから捨てることもできない。そんなものが長い年月をかけてたまりつづけた場所。
デジタルノートは物理的な場所を占有しないからどれだけ量が多くてもいいんだ、という考え方は否定しません。それは1つの意見として尊重しますが、自分はそんな状態では気分よくノートを使いつづけることは困難である、と考えます(気分よく使える、ということが大事だと考えるようになった)
この部分に関しては、テクニックというよりは思想的な要素が強く、たとえば「よいものを大事に長く使いたい」という考えに共感していただけるかどうかで答えが違ってくるものかもしれません。
とは言え、自分自身も「情報なんて多い方がいいに決まっている」とほんの少し前でそう信じて疑わなかったような人間です。少なくとも、ここまで読んでいただけるような方であればそういう考え方もある、ということを知っておいていただくだけでも損はありません。
「デジタルノートの使い方」に関する思想的な部分を改めて考えてみること。私が提案する思想を実際に取り入れるかどうかは抜きにして、少なくともそうした思想があると知ることは、あなたがデジタルノートと長く付き合っていく上で邪魔になることはないはずです。
およそ15年、デジタルノートと超本気で向き合ってきた経験から得た「デジタルノートを長く使っていくための秘訣」
そうしたものも、この「アトミック・シンキング実践ワークシート」を通じて紹介したいと思っています。
「わかる」だけでは「できる」ようにならない
「アトミック・シンキング実践ワークシート」の最終的な目標は、これを使っていただいた方がObsidianを使って「自分で考える」ことと「自分で学ぶ」ことができるようになることです。
そのためには、自分の中にある「そもそも自分にはどんな情報が必要なのか」「自分はなにを学びたいか」に気がつけるようにすること。そうした自分の特徴を理解して、自分自身で情報を集めて、整理して、考えをまとめていくことができるようになること。
先ほども書いたように、コンピュータに不慣れな方は、まず一番に「コンピュータの仕組み」などを学んでいくことがオススメです。
ただ、コンピュータの仕組みを学ぶことが目的であれば、書籍でもネットでも、世の中に情報はたくさん存在しています。
ごりゅごが提供したいのは、そういう情報をどうやって選別して、それを使ってどうやって学んでいくのか、という方法。
学び方を身に付けるには「読む」だけでは足りません。
なにかを読んで「わかる」ことは簡単です。しかし、実際にそれが「できる」ようになるためには、そこから自分自身で何度も手を動かすことを繰り返す必要があります。
「アトミック・シンキング実践ワークシート」は「わかる」ことではなく「できる」ことを目指します。
なにかを読んでわかるだけではなく、読んでわかったことが「できる」ようになること。
素振りの仕方がわかっても、何度も素振りを繰り返さなければバットでボールを打つことはできません。将棋の駒の動かし方がわかっても、それだけでは将棋で勝てるようにはなりません。
これは、ノートを使って情報を整理することや書いて考えるということでも同じです。
どうやって整理するかわかっても整理はできないし、どうやって考えるかわかっても、上手に考えることはできない。
わかったあとで何度も練習を繰り返すことでした「できる」ようにはならないのです。
時間をかけて実践する
「わかる」ことと「できること」
この両方の目的を達成しようとすると「読み物」だけでは不足であると考えました。
単純に読むだけでは「わかる」止まりです。わかるようになってから、できるようになるまでは繰り返し何度も「使う」必要が出てきます。
そしてそれは、1日や2日ではなく、少なくとも数ヶ月というスパンで少しずつ確実に身に付けて習慣化していくことが必要です。
また、こうした習慣化を目指していく過程では、いきなり難しいことをやろうと思ってもうまくいきません。一見地味に見えるような超簡単なことを毎日繰り返し、少しずつ少しずつスキルを身に付けていく方が、結果的には早く「できる」に到達できるのです。
となると、いきなり難しいことを「わかる」のはよくないことで、それよりもゆっくり確実に少しずつ「できる」ことを増やしていくのが最善の方法ではないか?
そんなことを考えて今回辿り着いたのが、いきなり最終形態の「アトミック・シンキング実践ワークシート」を配布するのではなく、定期的に少しずつ内容をアップデートしていくような形式の方が相性が良いのではないか?と考えました。
ゲームでいう「アーリーアクセス」的な販売形式です。(いきなり完成させてしまわず、ユーザーのフィードバックをもらいながら最終形を目指してく)
最低限の「Obsidianの使い方」「Obsidianを使った情報整理の型」なんて偉そうなことを言ってますが、今の自分が自信を持って提供できるのはまだまだ「オレのやり方+α」程度のもの。百人に近いくらいの人には教えてきたけれども、まだまだごりゅごには教える経験が足りていません。
そんな段階で、できるだけ多くの人に向けての「これは覚えとけ」みたいなものは、いきなり無理に方向を固めてしまわない方がいい。無理して一気に全部提供するよりも、少しずつ情報を提供しながら、利用者の方々の意見を聞き、少しずつ改善を重ねる。そうやってよりよい形を目指す方が、より多くの人にわかりやすいものができる。
アーリーアクセスという形で提供するメリットというのは、実はごりゅごだけではなく、これからObsidianやアトミック・シンキングを学んでみよう、という人にもメリットがあります。
最初の段階で情報がすべて揃っていると、非常に短期間で「わかる」ことができます。
ただしこれは、長い目で見たら必ずしもいいこととは言えません。
すぐにわかってしまうと、どうしても「できる」ための努力を放棄してしまう。できないのに「できる」つもりになって満足してしまう。
また、あまりにも「わかる」のが早いと、目標を高くしすぎてしまい、その目標に届かない自分に嫌気が差してしまう。
目標設定で重要なのは「小さなゴール」です。目標は、小さければ小さいほどいい。そうやって目の前にある小さな目標を少しずつ達成していけば、いつのまにか以前は考えられなかったような大きな目標に到達することができるようになります。
「Obsidianを使ってごく自然に書いて考えることができるようになること」
この最終目標は変わりませんが、いきなりそんなことを当たり前にできるわけではない。
毎日少しずつ繰り返して「当たり前」の範囲を少しずつ広げていくことが重要です。ごくごく簡単な「これやっとけ」を繰り返して、少しずつ少しずつ「当たり前」を広げていく。当たり前の範囲が広がったと感じられたら、そこではじめて次のことに挑戦する。
いきなり全部のコンテンツが提供されないことで「こんな簡単なことだけでいいの?」ということだけに集中ができます。
「こんな簡単なこと」に見えることを本当に当たり前にして、なにも考えずに自然にそうなってしまうようにする。これを繰り返していくことが、結局一番早く「大きな変化」を生み出せる方法なのです。
これをご覧いただいているみなさんは、おそらく毎日長時間コンピュータ(スマホも含みます)と向かい合い続けており、これから10年20年先にも、きっとコンピュータと向かい合っていくことが必要になるでしょう。
Obsidianは、めちゃくちゃたくさんのことが自由にできるツールです。だからこそまずは「デジタルツールを長く使う作法」を身に付けることが重要です。いきなり「すごいこと」ばかり試そうとすると、まあ驚くほど一瞬のうちにObsidianの中身がゴミ屋敷と化してしまいます。
ノートがゴミ屋敷になってしまうという不幸を生まないためにも「少しのことだけやる」ことから始めていきましょう。
今後の計画と進め方
で、具体的にこれからどうやって「アトミック・シンキング実践ワークシート」を提供していくのか。
まずは今から「アトミック・シンキング実践ワークシート」の予約販売を開始します。(販売するものは、Obsidianの保管庫形式の電子データです。Obsidianの設定や、具体的なノート、ノートの使い方についての説明などが含まれています)
予約注文は今から3月末までの間受け付けます。その後、4月にデータ配信を開始すると同時に通常販売価格に切り替えます。
その後は、1〜2ヶ月に1度のアップデートを行い、その度に「次のステップ」となるコンテンツ(解説+実践項目)を追加。だいたい1年を目処に、すべてのコンテンツが揃うことを目指します。
また、ダウンロード開始のタイミングと、コンテンツのアップデート時には、使い方や内容についてオンラインで説明する時間を設けます。(セミナーみたいなやつ)それ以外にも、ウェブページで設定方法などをまとめたり、Discordを使った質問ができるサーバーなども準備していきます。
まとめるとこんな感じです。
今から:予約販売開始
4月:ダウンロード開始&オンラインセミナー(予約販売価格終了)
5月:最初のアップデート
1〜2ヶ月後:次のアップデート
その後、随時アップデート
1年後:完成版を販売開始
予約販売はStripeにて受け付けます。
予約注文いただいた方には、4月になったタイミングで、購入時のメールアドレスにダウンロード用のリンクや、その他お知らせなどをお送りさせていただきます。
現在のところ、以下のようなコンテンツを用意しています。細かな内容紹介なども作っていく予定ですが、まずは宣伝よりも内容のブラッシュアップに力を入れたいと思っています。その辺りも含めた「早期販売価格」であることをご理解ください。
以下、割引き用のクーポンコードです。今から有料会員に加入いただいてクーポン使っていただく、という手法ももちろん歓迎いたします。
有料会員に加入いただくと、30時間分以上のセミナー動画もすべてご覧いただけます。動画は基本すべてごりゅごが普段Obsidianを使っている画面を映しているので、Obsidianの使い方をイメージしていただく、というだけでもお役に立てるのではないかと思います。
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