💎ゼロから始めるObsidian シリーズ第4回です。
Obsidianに新しい保管庫を作り、だいたい一ヶ月くらい経過した頃。そのくらいのタイミングでノート全体を振り返ってみたら、気がつけばObsidianが「コレクション場所」になっており、本来の目的とは異なるものになりかけていたことに気がつきました。
今回はその失敗を振り返り、教訓・対策などを皆様にお伝えしたいと思います。
手段は簡単に目的化する
ごりゅごがObsidianに新しい保管庫を作った目的は『ギターの練習に役立てる』ことでした。これは、たぶんこの保管庫を使い続ける限り変わることはありません。(変わることがないというより、変わったら意味がない)
最初にObsidianに新しい保管庫を作ったときの目的は、YouTubeなどで見られる練習メニューをデジタル管理することでした。
その後、様々な試行錯誤を重ねるうちに、1日の練習メニューをデイリーノートで管理する方法を思いつきます。デイリーノートのテンプレートに「今やりたい練習」を書いておいて、日々の練習はデイリーノートを見ながら実行し、同時にデイリーノートに練習記録も残していく、という仕組みです。
(この辺りの流れは、『アトミック・シンキング』実践セミナー10動画アーカイブの中で具体例をお見せしています。デイリーノート仕事術をギター練習に応用したものです)
この仕組みでうまくデイリーノートを運用していくには、1つのノートに1つの練習が書かれた「アトミックな練習ノート」がポイントになってきます。今の練習が必要なくなったときも、新しい練習を取り入れたくなったときも、テンプレートをちょっと編集するだけ1日の予定を簡単に修正できます。
また、このときデイリーノートに練習についてのメモを残しておけば、それぞれの練習ごとの記録なども簡単に振り返ることが可能です。(これが、上達を実感するために非常に役立つ)
練習ノートのバックリンク、練習内容についてのメモが一覧できる
1つの練習内容がノート1つにまとまっていれば、その練習が必要なくなったときにはテンプレートから消すだけでいいし、練習ノートを見ればバックリンクを使ってこれまでの練習記録を振り返ることも簡単。こうやって、デイリーノートとアトミックな練習ノートを組み合わせることで、ギターの練習が、上達が実感しやすい、超楽しいものになりました!
そしてそうなると、段々と色々な練習を集めてくること自体も楽しくなってきます。本を読んで、やってみようと思った練習、YouTubeを見て、真似したいと思った練習。20年前と違い、現在見つけられる練習素材はどれも非常に質が高く、しかもそれらはほとんど無料かそれに近い値段で大量に集められてしまいます。
そうすると「やりたいこと」がどんどん増えてきちゃうんですよね。
どれもかっこいいから真似したくて、いつかやりたいと思うものだらけ。どれもできるようになりたい。真似したい。
そうやって、いつかやりたいことをObsidianに集めていたら、気がついたらObsidianの中身が「色んな練習メニューを保管する場所」になってしまっていました。
元々は「ギター練習に役立てる」ことが目的だったはずなのに、目的が「ギターの練習を集める」ことに変化して、それを整理することに時間と熱意を使ってしまっている状態になっていたのです。
これはもう典型的な「デジタル整理病」の第一歩。ほっといたら完全に「もともとやりたかったこと」を忘れてしまいます。
ごりゅごの事例は「ギター練習」についての話ですが、これはデジタルノートを使っていると誰もが陥りかねない非常に危険な罠です。おそらくなにか思い当たることがある人もいらっしゃるはずです。
なんでも保存しない方がいい?
こうなってしまう大きな原因は、やはり「デジタルノートの手軽さ」「実質無限とも言える保存容量」でしょう。
とは言えここには大きな問題があります。集めることは無限にできても、実際にそれを「使う」ことができる時間は限られているのです。いつか使いたい、と思って保存しておく練習はどれも興味深いものですが、油断すると集めるペースは簡単に使うペースを上回ってしまいます。
そもそもまず、ギター練習するときに「あれもこれも」練習しても上達はしません。これは、20年前の自分の経験から学んだ経験則でしかないんですが、ここ数年学んだことから考えてもまず間違いないことだという自信があります。
新しいことを学ぶときに重要なのは「繰り返し」です。
学生時代ははよく「何冊も参考書を買っても意味はない。1冊の参考書を繰り返して何周も解くことだ」と言われましたが、ギターの練習も同じで、結局重要なのは「体が覚えるまで繰り返す」こと。
結局、いつかやりたいを練習をたくさん集めても、ただの「練習コレクター」になるだけ。いつかやりたい練習なんか集める時間があったら、その時間で同じ練習を繰り返す方が遥かに上達の可能性は高くなります。
でもそうなると、気になることをなんでも保存するというのはデジタルノートの使い方として「間違った」ことのようにも思えてきます。
とは言え、デジタルノートの「実質無限に保存できる機能」を完全に捨てるのは、それはそれでもったいない。こう感じてしまうのもまた人情。
じゃあどうしたらいいだろうか、と考えて辿り着いた結論は、またしてもデイリーノートでした。前回の話では、デイリーノートは「記録のために使う」と書きました。それならついでに「気になったもの」もデイリーノートに残しておけばいい。
気になることはとりあえずデイリーノートに書いておいて、当面は特に整理はしない。
デイリーノートは、使い終わったら簡単に「見えない」ようにすることができます。そして、見えなければ整理されていないことは気になりません。でありつつ、いざ自分が書いた「気になったこと」を見つけたいと思えば、過去のノートから「気になるもの」を見つけ出すことも不可能ではありません。
使い方が安定するまでは整理しない
ということで今回の結論は以下の二つ。
気になることはデイリーノートに書く
デイリーノートは整理しない
ごりゅごはこの方針でしばらくは新しいObsidian保管庫を使い、デイリーノートを整理するのは、デイリーノートが100日分たまってからにします。おそらく、そのくらいの期間デイリーノートを使い続ければ、100日前のノートはかなり冷静に振り返ることができるはず。
100日くらい使ったら、集まった情報を使って「ボトムアップの整理」をやっていこうと思います。
今回わかったのは、なにか新しいことを始めたばかりの時は「必要なもの」がきちんと見極められないということ。なにかを始めたばかりの時は大抵自分は「初心者」なわけで、その段階で何が必要なのかを判断するのは簡単ではありません。
だからせめて、初心者の期間が終わってから、多少慣れてから振り返る。慣れるまでは無理に整理しようとしないで、整理するのは整理すべきものが「大量に」集まってから。
けっこうObsidian慣れてたつもりでも、色んな失敗するもんだなあと思います。
そういう点で言うと、重要なのは失敗を前提にした構造とマインドです。デジタルノートは失敗しても修正は簡単なのも特徴の1つ。
極論、最初の100日の間に作ったノートは「全部役に立たなかった」くらいでも全然問題ありません。それを踏まえて次の100日にもうちょっと役に立つノートが作れればいい。
それよりも大事なのは、モチベーションの維持ができること。そのためにも「失敗するのは普通」だと認識しておくことができれば、安心してデジタルノートを使うことができるはずです。