最近、生まれて始めて「筋トレが楽しい」という体験をしています。
今楽しいと思っているのは「プリズナートレーニング」と呼ばれる自重トレーニングの一種。できる種目の重さを少しずつ増やしていく、というのが筋力トレーニングの一般的な方法だと思いますが、プリズナートレーニングは「6種目」をそれぞれ少しずつレベルアップさせていく(トレーニング内容が変わる)」というのが特徴です。
具体的に、どこがどう面白いと感じているかなどは、先日Podcastでも話してます。 🎙775 家で「超簡単」なところからゆっくり始められるプリズナートレーニング
このニュースレターでも「プリズナートレーニング」というやつがどう面白いのかを語りたくもあるんですが、ナレッジスタックはナレッジスタックらしく、ナレッジスタックぽい観点「習慣化」をキーにして、今回自分が感じたこと、考えたことを整理したいと思います。
なにもしないよりはなにかした方がいいのは間違いない
健康で健全な生活を送れるようにするため週に1回は運動しよう。
だいたいそんなことを目標に、週に1回のペースで水泳を続けています。(まもなく3年くらい)
ここまでに、上達が楽しめる時期、停滞期、マインドを切り替えて楽しめる時期、ちょっと泳ぐの上手くなったと思う時期といろいろな段階を経てきました。
その中でも特に、変に頑張ろうとして水泳がつまらなくなるくらいならば、頑張らなくていいから楽しく続けられるようにした方がいい、と考え方を変えることができたのは大きな出来事でした。
その辺りの経緯→ 「有効活用」に囚われず堂々と「もったいなく」生きる
この考え方は今も変わらず、たとえ強度が低かろうが時間が短かろうが、運動しないよりはした方がいいに決まっている。安定して運動が継続できるなら、変にハードな運動を目指さなくていい。長く続けるためには「つまらなくなる要素」は可能な限り減らすことこそがもっとも優先することだと思っています。
生活習慣を変えないと体重が変化しない
こう考えるようになってから、水泳はけっこう楽しく続けられています。ただ、ごりゅごの肉体はまだまだ全然健康的ではありません。
具体的には、ひとまずの目標とする体重まであと5kg減らせばいい、というところまでは到達したんですが、そこから1年以上体重に変化がない。
ここから頑張って体重を減らす努力ができたらいいんだけど、結局無理して体重が減っても、根本的な生活スタイルに変化がない限り、必ずどこかで無理をすることになってしまう。というか、ここを頑張ろうというほどのモチベーションもなかなか湧いてこない。
とは言え、この体重は、それはそれで「健康」という観点からあまりいいものではない。それはわかる。できればもう少し自分が考える「カッコイイ体型」を目指したいとも思う。
今の食事や生活スタイルを維持したまま、同じ程度の運動をしている限りは、ここから体重が減る、ということはまずありえない、ということはわかった。
となると結局「筋肉を付けて消費エネルギーを増やす」ことが一番いい方法なのではないか、という考えに至ります。
筋トレが(消費エネルギーを増やすという観点で)ものすごく効率がいい手法であることは、頭では分かっています。
ただ、よい方法だと知っているということと、自分が好きでそれを出来るかどうかというのは別の話。自分の場合、筋トレがつまんないと感じるから代わりに水泳をするようになったんだし、その水泳すらも「楽しくする工夫」がなければ続けられなかったかもしれません。
それを、今になって続けられるのかと言われたら、まったくもってそんな自信はありません。
妥協点を見つける努力
筋トレがいいのはわかっているけど続けられるとは思わない。そんなことを思うようになってから1〜2ヶ月くらい経ったでしょうか。
Twitterを見ていたら偶然「筋トレのBIG3」というものを知りました。BIG3というのは「人体に備わっている3つの大きな筋肉」のことで、その大きい筋肉3つを鍛えてあげればだいたいそれだけで高いダイエット効果が得られる。
筋トレ学的に正しいかどうかはさておき、自分はそのように理解し、興味を持ってBIG3トレーニングについて色々調べてみました。
少し調べてわかったのは、これらのトレーニングは全部「重いウェイト」が必要である、ということ。
家でウエイトトレーニングをするというのは、不可能ではないかもしれないけれども手軽ではない。なにより、重いウェイトは怪我の危険性も高く、そういう観点でも家ではやりたくない。
じゃあジムに通うという方法を採用するかというと、それはそれでやりたくない。
人によっては、ここであえてジムにお金を払うことで「お金を払ったことを理由にして頑張ろう」みたいなモチベーションの持っていき方ができるタイプの人もいますが、自分はそういうのは得意ではないし好きではない。
しかも、近所の公共トレーニング施設は1回100円で利用できてしまう(平日昼ならさほど混雑していない)ことを知っているので、ジムに高いお金を払うのはどうしても無駄なものだと感じてしまう。この感情は、自分ではどうしようもない。
じゃあその安い100円の筋トレ施設に行けばいいのかというと、結局のところ自分は筋トレを「仕方なくやるもの」としか認識できてなくて、やってて楽しいと感じられないから、たぶん続けられない。こうやって、問題はループを繰り返します。
「超簡単」から始める優れたレベルデザイン
そんな中で偶然知ったのが「プリズナートレーニング」というやつでした。
プリズナートレーニングがすばらしかったのは、どのトレーニングも最初はものすごく簡単なレベルから始まる、ということ。そこから長い期間をかけて、少しずつ着実なレベルアップを目指すものだったということです。
たとえば、いわゆる「腕立て」に属するトレーニング。プリズナートレーニングで一番最初に実行するのは、壁に向かって手を突いて身体を上げ下げするという方法です。世間一般のひとがイメージする腕立て伏せを始めるのは、10段階のレベル5に属する「めっちゃ難しいやつ」
このトレーニング、おそらくほとんどの大人が確実にこなせる超簡単なトレーニングなんですが、言われた通りに完璧にこなそうとすると、ちゃんと筋肉が疲れるんですよ。
超簡単だからこそ、正しいやり方のみに集中できるし、手がぷるぷるしてものが持てなくなる、なんてこともない。
でも、ゆっくりきちんと動かせば、トレーニングとして効果があることは実感できる。
そして、こいう段階を少しずつステップアップしていくことで、最終目標(腕立ての場合は、足を閉じた状態で片手で腕立てをする)まで「いけるかもしれない」と思わせてくれるのです。
この、レベルアップしていく仕組み。これがすごい。これがめっちゃ自分と相性がいいすばらしい仕組みだ。こういうのがやりたかったのだ。
そんなことを感じたと同時に、ここに至って「おれ、今までよりも”習慣化力”が上達したかもしれない」と感じたのです。
習慣、習慣化、習慣を作るということばを聞くと、勝手にできてしまうもの、自然にそうなってしまうものみたいなイメージが強いのですが、自分で意識してよいと思う習慣を作りあげることができるようになることって、かなり「スキル」として身に付けられることが多いんじゃないだろうか?
うまく習慣化できないのは、素質がないなわけではないし、性格が不向きなわけでもない。もちろん、習慣化できるかどうかに意志が強いか弱いかなんて関係があるわけがない。
なにかを習慣化できるというのは、言語化して、練習して身に付けられる「スキル」の要素が多分にあるのではないか。
そんなことを感じたのです。
自分の特性を知り、特性にあったものを見つける
今回の話の場合、たとえばまず最初の段階で「長期的に健康的な体重を維持するためには筋肉を付けることが効果的」であるということをきちんと学んで、言語化し、整理して理解することができていました。
まず前提として、筋肉が重要であるということが、なんとなくではなく「身にしみてわかる」ような状態でなければ、筋肉を付けようというモチベーションを維持できません。
体重を減らそうと思う時に、ただなんとなく「筋トレしたらいいのかな」と思ってるだけの状態とは、モチベーションに明確な差が出るわけです。
そうしたモチベーションを持った上で、自分はどんなトレーニングならば続けられそうなのか。
これまでの成功と失敗を含めた習慣化の経験から、自分は「どんなことならできそうか」のアタリを付けられること。
自分に合わないと感じるパターンの、どこに不満を感じていて、それがどうやって解消されればやれると思えるのか。これもある程度言語化ができること。
同時に、あれもできないこれもできないのままでもいつまでたっても進まないので、今ある材料でひとまずやってみよう、という適切なタイミングを判断ができること。
そしてその判断は「感覚」ではなくて、きちんと自分が残した「記録」に基づいた予測ができること。
こうした前提条件があったからこそ、自分と相性が良い手法を見つけることができ、自分と相性がよいやり方で楽しく継続ができるようになっているのだと考えます。
結局は記録に戻ってくる
結局のところ、今回の話も根本的な部分では「記録を残して、それを活用することが超大事」という話に集約されます。
そして、この「記録を残すスキル」が上達すれば、様々なことで「自分と相性がいいもの」を見つけるのが上手くなっていく。
そのためには色々な記録を残してみて、どんな記録があればいいのか。どんな記録を使って考えればいいのか。そうしたことを、たくさんの失敗を含めて記録をベースにして考えていくこと。
こうした経験を経て「習慣化が得意になる」というスキルが獲得できるようになるのではないか。
そんなことを考えた次第なのです。
ちなみに、プリズナートレーニングは「超簡単なところを、バカにせずきちんとやる。決して無理して先に進まない。すぐに成果を求めない。怪我せず、安全に成長するのは時間がかかる」というのが重要な基本方針として説明されています。
この考え方は、ごりゅごが最近ずっと提案し続けている「とにかくきちんとデイリーノートに丁寧に記録を残す。いきなり先に進もうとせず、まずはひたすらデイリーノートを使う」という考えとも非常に考えが近く、その観点でもすごくいいものを見つけられたな、と思っています。
プリズナートレーニングの手法から、アトミックシンキングにも応用できそうな考え方がいっぱいありました。
たとえば、プリズナートレーニングの「BIG6」のように、いくつか種類の項目を作ること。それと同時に、将来こんなことができるという「理想の段階」みたいなことを示せるようになること。こうした考え方は、今後アトミックシンキングを人に勧めていく時にも応用していきたいな、と思っています。