少しずつだと間違えないから気分よく続けられる
🌱スナック学習の影響で中国語を学んで得られた発見
ブックカタリストのアフタートークの中で、倉下さんの「スナック学習」という手法についていろいろ教えてもらいました。
詳細はエピソードを聴いていただければと思います。スナック的に概要だけをつまんで紹介すると、この学習法は「とにかく1回でほんのちょっとの量しかやらない」というものです。
どのくらい「ちょっと」なのかというのを倉下さんの実例を元に紹介すると「Duo3.0の例文を1日1個だけ勉強する」だとか「Nexes(英語本)を1日に1パラグラフだけ読む」くらいのイメージ。
もう少し詳しく言うと、「Duoの例文1個」というのは、ただ1回読んでおしまいではありません。ひとつひとつ知らない単語を調べ、構造を確認し、音読するなど、きちんと手間をかけて学びます。しかし、どちらにしても「一個しかやらない」という点が重要です。
さらに言うと、こうしたスナック学習は、できるだけ毎日やるのが目標ではあるけど、出来なかったときにも「遅れを取り戻そうとしない」というのも重要なことだそうです。
つまり、昨日できなかったからといって、次の日に2日分やるということを もしない。出来るだけやるけど、やってもやらなくてもとにかく1日1個。
1日5分くらいは勉強するけど、やるのはそれだけ。ほんとにちょっとだけ。
大人の学びは短期的な成果を求めない
こんだけ話を聞くと、そんな程度でなにか成果が出るの?って思うじゃないですか。
それに対しても倉下さんは(長い目で見て確実に成果が出るという確信はあるけど)「短期的な成果なんてなにも期待していない」という言い方をしているところがおもしろい。
この言葉、自分もすげーよくわかるんですよ。なにかの「勉強」をしたからと言って、普通は1日2日で目に見える成果なんて出るわけがない。というか、1ヶ月2ヶ月経って目に見える成果がでるものって実は非常に貴重なことで、ほとんどの物事はその程度で「誰でもわかる成果」を出すのは難しい。
それなのに、人々は1日2日で成果がでることを期待して、長短期間だけすごく頑張る。そして、成果が出ないことを嘆き、勉強をやめてしまう。
自分の場合はこのサイクルを乗り越えるための方法として重視したのは「記録」でした。
記録によってできるだけ成果を「見える化」することで、モチベーションを失わないようにすること。そういう方向でずっと工夫をしてきました。
ただ、倉下さんの話を聞いてると「すぐに成果なんてでなくて当然」と、どっしりと構えるというやり方も非常に重要だよな、ということを感じたのです。
超スローペース学習は忘れにくい
これに刺激を受けて、自分も再びAnkiアプリを使って中国語とドイツ語の単語を覚える、っていうのをやってみることにしました。
中国語は、以前1日5個とか10個単語を覚えてみようとして中断。ドイツ語は、入門書籍をいくつか読んだけど、つまらなさすぎてそのまま、となっていたくらいの段階です。
なので今回はとにかく難しいことを考えず、超シンプルなことは、ほんの少しずつ進めるだけ、という方針。
具体的には、Ankiアプリで1日1個だけ新しい単語を覚える。それだけ。
Ankiアプリの仕組み上、必ず覚えた単語の復習は発生するんですが、それでも1日1個しか学ばない場合は、1日の復習は数個。だいたい1日5分未満。今日の話だけで言えば、学習に使った時間は2分未満です。
自分が用意した中国語Ankiデッキは、学習対象の単語はおよそ5000語。このペースで勉強したら、どんなに早くても13年以上かかる計算です。(60歳までにならクリアできるかな?)
そういう超ウルトラスローペースなんですが、さっきの話を踏まえたら、まあ別にそんでいいんじゃない?って思えるようになりました。
別にね、中国語覚えてなんかしたい、ってわけでもないんですよ。動機としては「なんとなくやってみたいだけ」ってくらいのもので、強いて言うならもう少し日本円が強くなって、世界が安定したらまた台湾に旅行に行きたいなあ。その時に日常会話がある程度できたら楽しそうだなあ、という程度。
ドイツ語なんて、完全に知識ゼロ(イッヒ・リーベ・ディッヒとアイネ・クライネ・ナハト・ムジーク、くらいならわかるかな)で、興味持った理由は「かっこええから」というだけ。覚えてどうにかしたいとか、そういう動機すらない。
つまり、ほぼほぼ「好奇心」だけで機能しているモチベーションです。だから、逆にこの程度の動機で1日1分2分程度「努力」できれば、もう十分にすごいと言える。
ただ、その程度の勉強でも、ゼロなのとそうでないのは全然違う。
1日2分やるだけでも、けっこう普通に「わかる」ようになってきてるんですよ。なんなら、1日5個とか10個とか単語を覚えようとしてたときより、上達が早いんじゃないかといえるくらい。
少なくとも「間違える不快感」は、今の方が確実に少ない。そして、間違えることが少ない方が「できるようになってる感じ」を味わいやすくて、単純に気分がいい。
間違えないから気分よく続けられる
こういう「ほんのちょっとだけやる」「成果を全然急がない」手法というのは「大人の学び」として非常に優れた手法だと今は強く思います。
スロージョギングなんかも同じなんだけど、勉強にしても習慣化にしても、大人が自発的になにかを始める時のポイントって、いかに「かつての常識」を無視するかだと思うんですよ。
まず言えるのは、大人の学びは「期限」がゆるい。学生の頃の部活だったり受験だったりというものは、1年とか2年で成果を出さないと評価されなかった。そうしないと、大会が始まってしまったりとか、受験が始まったりしてしまう。
でも、大人はそんな風に1年2年で成果を出さなくてもなにも問題ない。少なくとも誰にも迷惑をかけることはない。
1日1単語覚えるだけだと、3年かけて覚えられるのはおよそ1000語です。
英単語なんかは、だいたい2000くらいが「よく使われる単語」なので単純にこれだと大学受験は「間に合わない」んです。
でも、いろんなことを忘れて、5年くらいかけて「基礎的な単語がちゃんとわかる」程度の目標ならば、1日5分も勉強する必要がない。
というか、なによりも別に「受験」じゃないんだから、全部わかる必要もないし、途中でやめようがなにも問題はない。
「単語を覚える」という目標が設定されると、ついついどうしても「やり切った」ことに価値を感じてしまいがちですが、そういう概念すらも捨て去ってしまった方が楽だしたのしい。
いろんな余計な概念を捨て去ってみると、純粋に「わかる」ようになることとか「できるようになること」ってめっちゃ楽しいんですよ。
なにも目的を持たずにただ単語を覚えてるだけなんだけど、1日1個だけだと本当に「間違えないから気分がいい」
Ankiが進化して今まで以上に「無駄がない」仕組みに
ついでに余談なんですが、久しぶりにAnkiアプリを立ち上げてみたら、けっこういろんな仕様が変わってて「覚えるサイクル」というやつにも新しい仕組みができ上がっていました。
FSRS という名前の仕組みらしく、ざっくり言うと「忘れる直前にカードが出てくる」ように調整してくれる仕組みで、無駄な復習が減るらしいです。(確率モデルを使っている、ということまではわかった)
実際、確かに「復習頻度」は下がってる気がします。
自分の昔の記憶を元にした比較しかできないんですが、必要以上に何回も単語が出てくることは、明らかに減っている。そして、この変化もまた「楽に続けられてる」ことと関連しているのかもしれません。
(特に、新しい単語を覚えた直後とか、忘れた判定をしたときにかなり繰り返し同じ単語が出てきて鬱陶しかったが、これがかなり少なくなった印象)
基本的にこれまで自分の趣味というのは「目的志向が強い」と思っていたけど、実はそうじゃなくて純粋に「上達できさえすればそれで楽しい」のかも。
そんなこともまた今回の新しい発見でした。
Ankiに関する記事は、これまでもそれなりにいっぱい書いているので、こちらもどうぞ
