人間の意志力や決断力というものは「筋肉のように疲労する」もの。その前提に立つと「選択肢を減らす」というのは非常に有効な方法です。
🧘♂️選択肢は少ない方がいい - by goryugo - ナレッジスタック
今回はそれにちょっと似たところがある話として「あとでやる」テクニックについて紹介しようと思います。
「あとでやる」ということを戦略的に使い分けることで、やりたくないことをやらないようにして、やろうと思ってたことをちゃんとやるようにすることに繋げられるのではないか、という話です。
「あとでやる」ことにすると簡単に「やらないでいられる」
『WILLPOWER 意志力の科学』の第10章では「ダイエットをするためにはダイエットをしない」と書かれています。
ダイエットができるかどうかということと「意思力の高さ」との関連は予想よりもかなり少なく、意志の強さはあんまり関係がないという内容でした(関連がゼロとは言えないが、さほど重要ではなかった)
ダイエットに関して言うと、意思力に頼り続けることは負荷が高すぎるので、意思力を使ってダイエットしようとしないこと。意思力に頼るのではなく、意思力を使わない工夫をすることが重要です。
たとえばよくある対策ですが「目に見えるところに食べ物を置かない」だとか「家に余計な食べ物がない状態にする」などは「意思力を使わない」方法の1つです。
こういった意思力に頼らない方法としてもう一つ紹介されていたのが「あとでやろう」という方法です。
目の前に魅力的な食べ物が並んでいる中で「あとで食べよう」と決意することは、無理矢理我慢することに比べて意思力の消費も少なく、その後も「我慢」したり「食べたいな」と感じたりしにくい。
イメージとしては「あとで食べよう」と想像することである程度「食べた気になれる」ので「あまり苦にならない」という感覚でしょうか。
「あとでやろう」以上になにもない、極めてシンプルなメッセージですが、世の中の大事なことは大抵はシンプルなものです。とにかく悩んだら「あとでやろう」と考える。
この「あとでやろう」は、あらゆる「やめようと思うこと」に対するシンプルな方法として応用できると思います。
「あとでやる」ことにすると簡単に「やらないままになる」
先程の「あとでやろう」作戦は、悪癖に対しては非常に有効な方法ですが、間違った使い方をしてしまうと「やろうと思うことをやらないようにする」効果も生んでしまう、ということには注意が必要です。
あとでやろう、と考えることは「これは今やらなくてもいい、今現在実行する価値がない」と脳は認識します。
人間は、価値を感じないことを覚えることができないし、価値を感じない行動をするためには強い意志力が必要になります。
あとでやろうと考えることは、対象に対して「価値が低い」と脳を騙す行為。
うまく使えば「やめる」ことに活用できますが、間違えると「やりたいことをやらなくなる」ということは覚えておいて損はないと思います。