ナレッジスタックの月一セミナー、次回は10月22日(土)21時から開催します。
金曜日の夜と土曜日の夜のどっちの開催がよさそうなのか。一度両方のパターンを試して考えてみたいと思い、次回は土曜の開催にさせていただきました。よろしくお願いします。
第2回のテーマは「読書メモ」です。
これは、前回のセミナーで読書メモ部分の反響が大きかったというのが大きな理由の一つですが、読書メモを選んだ理由はそれだけではありません。
今回のことを考えるに当たって、改めて自分のノート術を振り返ってみたところ、読書メモにはアトミック・シンキングのあらゆる要素を経験するのにもっともよい方法なのだ、と再度その重要性を思い知ったからです。
「読書メモ」にこそ、Obsidianを使ったノート術、要するに「アトミック・シンキング」の重要なことのほとんどすべては読書メモの中に詰まっている。そう言っても過言ではない、ということを今改めて考えています。
また、これから書こうとしている次の本「アトミック・読書術」の先取りなコンテンツであるとも言えます。
読んだ本について語れるようにするための読書術 - by goryugo - ナレッジスタック
読書メモでアトミック・シンキングの「すべて」を学べる
なぜアトミックシンキングにおいて読書メモが重要なのか。
まず一つは、読書メモは「アトミック・ノート」を作る為の練習素材として非常に扱いやすい、ということが挙げられます。
『アトミック・シンキング』で紹介した日記やフリーライティングは、アトミック・ノートを作る前段階、書く練習としての効果は素晴らしいものですが、実は書いたものをアトミックにするのは非常に難しいです。自分の思いつきというのはあくまでも思いつきであり、それが「いいノート」になるかどうかは判断が難しい。
自分の考えをアトミックノートにまとめるのは、釣った魚を下処理からすべて自分で行い、好きなように調理してお皿に並べるような感覚です。それに対して、本に書いてあることは「きちんと下処理された魚」の状態。イメージとしては、マグロの短冊が与えられ、それを使って刺し身を作るような感覚です。
魚釣りでは、どんな魚が釣れるかは釣り上げてみるまでわかりません。そして、魚の下処理は、釣れた魚に応じた対応が必要です。それに対して、短冊から刺し身を作るのは、基本的な取り扱い方を一つ覚えればだいたいどんな魚でも処理できます。
やっかいなのは、日記やフリーライティングからの「思いつき」という魚は、どんなものが釣れるかが全然わからないことです。タコやイカのように明らかに「魚」とは構造が異なる生き物が釣れることもあるし、クジラやサメのような大き過ぎる生き物が釣り上がる可能性もあります。さらには、マンガでよくありそうな「魚ではなく長靴が釣れた」なんて可能性もあるわけです。
この「思いつき」が厄介なのは、現実の釣りとは違って、思いつきをノートに書いた段階ではどんな魚なのかの判断が難しいことです。
「サンマ」のような丸焼きにすればいい魚かと思ったら実はそれは巨大なマグロで、まずは部位ごとに切り分けないと手を出しようがなかった、ということもあり得ます。他にも、実は長靴を釣り上げていて、(本来捨ててしまうべきなのに)それを一生懸命食べられるものとして調理しようとしていた、という可能性だってあるわけです。
もちろんこういうのはある程度経験を積めば「どう処理すればいいか」の目星は付くようになるのですが、上手にノートを残す為に学ぶべきことはそれだけではありません。
一つ一つの刺し身の大きさが均一にするように注意したり、切った魚を上手に並べて「美味しそうに見せる工夫」も必要になるわけです。
読書メモからアトミックノートを作ることは、そのイメージで言うと「短冊から同じ大きさの刺し身を作れるようにすること」「刺し身をきれいにお皿に盛りつけられるようにすること」のみに専念した練習です。
アトミック・ノートの最適な答えが人によって違う、というのもこの例を使って考えると理解しやすくなります。
刺し身の作り方には、誰もがある程度納得できる「基本」は存在します。ですが、分厚い刺し身が好きなのか、薄い刺し身が好きなのかは「好み」です。お皿への盛りつけの仕方にしても、対象をフグ刺しのように大きな器にどかんと盛りつけたい人もいれば、小さなお皿にツマや海藻類を加え、立体的な盛りつけを好む人もいます。
最終的に、自分が作るノートは自分の好みの、美味しいと感じやすい調理を行うべきですが、それを知るにはやはりある程度基本を知り、ある程度経験を積むことが必要になります。
それを知る為にも、まずはその「好みを知る為の経験」を積む。そのためにも読書メモが丁度いい、という話に帰ってきます。
せっかくなのでこのたとえ話をもう少し広げていくと、読書メモは「素材」という観点からもノート作りの基本として役立つ、と言えます。
料理、特に和食においてもっとも重要なのは素材です。調理の技術はもちろん重要ですが、素材が悪ければどんなに上手に調理してもできあがる料理はそれなりのものです。
そして、本に書いてあることは著者が一定以上の時間をかけて育て上げた「厳選された素材」です。時にそうではない可能性が存在することは否定できませんが、大抵の場合、どこをとっても美味しい料理を作れる可能性が高くなります。
仮に今現在の「ノートを書く力」が未熟でも、ノートにある「素材」がよければあとはなんとかなります。料理と違い、デジタルノートは調理しても劣化しません。後戻りもできます。時間経過で鮮度が落ちる可能性はありますが、大抵は長期保存できる素材ばかりです。
一度「いい素材」を仕入れて保存しておけば「素晴らしい素材を生かした素晴らしい料理」は、腕が上がってからまた作ればいいのです。
と、なんだか書いていたらそのまま本の原稿のようなものができあがってしまいましたが、これはこれで悪くない気がするのでこのままここに掲載します。
「アトミック・シンキング」で重要なことはすべて読書メモの作り方から学ぶことができる、というのが今回言いたかったことです。
そして、セミナー当日は、そのあたりのことを考えて「読書メモを残すときにやっているすべての手順」を、可能な限り細かく言語化して、実例を踏まえてどんな事をやっているのか、ということを紹介していこうと思います。
まずは、本を読みながらどのようにメモを残すのか。そのメモを、実際にいつ、どのように「アトミック」にしていくのか。
そうやって、アトミックにしたノートから「知識」を作り上げていく。そのために実際どんな事をするのか。アトミックノートからトピックノートを作るときにはどうするか、などなど。
これらのノートは、すべてを一度に完成させることを目指すのではなく、日々少しずつノートを振り返り、少しずつ精度を上げていきます。その為に、どうやってノートを振り返る仕組みを作るのか。
『アトミック・シンキング』実践セミナー第2回は、10月22日(土)21時から開催予定です。
参加用のリンクなどは、また後日配布いたします。