👋 こんにちは、はるなです。
普段は✉️ iPad WorkersというiPad特化型のニュースレターを配信しています。五藤隆介(ごりゅご)さんの妻です。
今回は、「デジタルツールで実現する『強調』の技術」がテーマです。 「分ける」時と同様に、iPadなどのデジタルツールを使えば、「つなぐ」ことも効率的にできます。
🗺️ 強調は「考えること」の入り口
長い文章を読んでいて「どこが重要なのか?」と迷うことはありませんか?
情報量が増えると、重要なことが埋もれてわかりにくくなっていることが多いです。これは情報を読み取る時だけでなく、メモやノートを自分が書く側のときにも同じことが言えます。
どれも同じように見えてしまうノートやメモは、後から見返しても「自分が何を大事だと思ったか」が見えてこないのです。見返したときに、何が重要なのか、自分が何を大事だと思ったのか思い出せず、使えないメモになってしまっては意味がありません。
そんな時こそ、「強調」の技術が役に立ちます。
これは、ただ目立たせるための装飾ではなく、「思考の優先順位」をつけていく大切なステップです。
紙のノートとペンを使った場合は、赤ペンで色をつけたり、記号を付けたり、文字の大きさを変えることで強調していました。この作業をObsidianなどのデジタル環境で行うにはどんな方法があるのでしょうか?
ここでは、Markdown記法を中心に、3つのテクニックを紹介します。
✍️ デジタルで使える3つの「強調」テクニック
ナレッジスタックを購読している方は、Obsidianを使っている人が多いと思います。Obsidianはマークダウン記法に対応しているエディタです。
マークダウン記法は「構造化した文章を書く」ことが得意な記法で、簡単に学べて、効率的に文章を整理・表現できるため、多くの人に愛用されている記法です。
マークダウン記法を使えば、文章の構造はもちろん、強調したい場所もシンプルな記号で表現できます。
たとえば、
## 見出し
**太字**
*斜体*
- 箇条書き
のように、特殊なボタンやメニューを使わなくても、テキスト入力だけで読みやすい構造を作ることができます。
Markdownを覚えると何がいいのか?
Markdown記法は、以下のような場面で特に力を発揮します。
デジタルノートでの情報整理(Obsidian、Notion、Scrapbox、Bear など)
ChatGPTなどAIとの構造的なやりとり
ブログや資料の下書き
テキストだけで完結する軽さが最大の魅力で、デバイスやアプリを問わず再利用しやすく、検索性も抜群です。
Markdownは「書きながら考える」作業にぴったりです。
情報量が多いとき、優先順位や関係性を整理する「構造化の型」として覚えておくととても便利です。
1. 🟥 赤ペンの代わりに、太字とハイライト
Markdown自体には、色指定はありません。「色を変えて目立たせる効果」と同じ役割として太字が使えます。厳密なマークダウン記法ではありませんが、ObsidianやBearなど、ツールによってはハイライト機能が使えるものもあります。
*
(アスタリスク)でキーワードをサンドイッチすれば、それぞれの装飾が可能です。1つなら「イタリック」、2つなら「太字」、3つなら「イタリック+太字」といったルールです。
太字やイタリックはMarkdown標準です。 さらに太字+イタリックも可能です。
ツールによっては、ハイライトが使えます。
**太字**や*イタリック*はMarkdown標準です。
さらに***太字+イタリック***も可能です。
ツールによっては、==ハイライト==が使えます。
また、Bearなどツールによってはハイライトカラーが変更できるものもあります。
2. ⭐ 記号や下線の代替として
残念ながら、マークダウン記法には下線を指定する記法がありません。ただし、こちらもハイライト機能と同様にツール独自で対応しているものが結構多いです。
たとえば、Obsidianは<u>下線</u>
とHTMLタグを使用することで下線が付けられます。Bearは~下線~
と独自の表記を採用しています。
Obsidianで下線をつける場合、標準のマークダウン記法とは異なり、入力がやや煩雑です。なので、私はMarkdown Formatting Assistantというプラグインを使っています。
このプラグインを有効にすると、サイドバーにアイコンが表示され、テキストを範囲指定した状態でボタンを押すと自動的に入ります。
わざわざプラグインを入れたりするのは面倒だという人は、昔ながらの記号を使った強調方法がおすすめです。
◎これは重要なポイント
※注意が必要な部分
→ 次に進むためのアクション
【仮説】これが成立するなら…
《キーワード》に注目
私がよく使っている記号は、「○」と「★」と「→」の3種類です。 矢印はよく使うので「→(ZL)」で入力しています。日本語IME(Microsoft IMEやATOK、Google日本語入力など)で「ZL」と入力すると矢印が出ます。
○(まる)、★(ほし)、→(ZL)でそれぞれ入力しています。
紙のノートと同様に、記号をテキストに加えることで、視覚的なアクセントを作ることができます。
Markdownやプレーンテキストのメモでもすぐに応用できる技術なので、アプリに依存せずに実践しやすいのが利点です。
3. 🔠 大きさ・余白で目立たせる
3つ目は、文字のサイズや余白によって強調する方法です。
デジタルでは見出し(# H1〜H3など)を使って、情報に階層をつけられます。
大きさや色などは、ツールや選んでいるテーマなどによっても様々ですが、基本はH1が一番大きい文字サイズで、レベルが下がるごとに文字サイズも小さくなるようになっています。
また、文字サイズが変わるだけでなく、見出しの前後に余白が生まれるため、文章が読みやすくなります。
見出しを使わず、水平線を入れることで、上下に余白を作ることもできます。
適度な余白を設けることで、読みやすさも格段に上がります。
このように、Markdownのシンプルな構文でも「強調」は十分に表現できます。
必要なのは、「どこを強調したいのか?」という視点と、それに合った記号・構文の選び方です。
🦅 強調は「見える化された考える力」
強調する技術とは、「重要な部分はどこなのか?」を問い直す行為でもあります。
「どこが一番言いたいことなんだろう?」
「この文章の山場はどこ?」
こうした視点を持つことで、情報の取捨選択がスムーズになります。これは、自分の思考を整理するためにも重要な視点です。
強調は、単に見た目を整えるだけではなく、「自分は何を大事だと考えたのか」をノートの中に残していく作業になります。つまり、「強調する」技術を使うことの最大の意味は、情報に対して自分の判断や考えなどをのせて、色付けしていくプロセスにあります。
どこを強調するかを決めるには、全体を見渡して、自分なりの仮説を立てていく必要があります。この一連の流れが結果的に「俯瞰して考える力」を育ててくれます。
強調は「見た目」だけでなく「意味」も伴うものになります。そしてその意味を、自分で選び、記録していくこと。
それが「自分の思考を残す」ための大事なステップになるのです。
ということで今日は『デジタル版「強調する」技術』というお話でした。