🌱デジタルノート界隈でブームな「Zettelkasten」とLinking Your Thinkingという発展系のフレームワーク
デジタルを活用したこれからの「情報カード」のあり方を考えていく
今回は、2020年後半から(俺の中で)圧倒的大ブームのObsidianという「マークダウン・ノートアプリ」について、何がいいのか、どこがいいのか、どう使ったら便利なのかなど、現状考えられる限りのことを書いて行ってみようと思います。
少なくともこのニュースレターを作るきっかけになったのはObsidianだし、ブックカタリストというPodcastを始めるきっかけもObsidian。
というか、最近色んなことにやる気が出てきて、色んな活動を始めるきっかけになったのがObsidianと言っても過言ではありません。
まずは最初にObsidianの基本というか「知識の整理」に重要な、欧米世界で流行していると言われる「Zettelkasten」というシステムの紹介と、そこから「デジタルノート界隈のブーム」などをざっと紹介したいと思います。
Zettelkastenとは
Zettelkastenというのは、1枚のノートに1つのアイデア、概念だけを書くというアナログのカード型構造システムです。(zettel = カード、kasten = 箱)
ドイツの社会学者Niklas Luhmann(ニクラス・ルーマン)が考案した情報整理法で、イメージ的には日本の情報カードを想像していただければ問題ないと思います。(ここでは厳密さは重要ではないです)
1枚のカードに1つのアイデアを自分の言葉で書き、それらをリンクで繋ぐ、ということがZettelkastenの基本ルール。
詳細はこちら:効率的なノートを作成できるドイツの社会学者が生み出した方法「Zettelkasten」とは? - GIGAZINE
「1枚のカードに1つのアイデア」というのも「自分の言葉で書く」というのも日本の「情報カード」と大きな違いはありません。
重要なのは、前回の「Ankiの問題の作り方」も含めて、この手の「知識の管理」ということを考えたときに、どの方法でも大事なことはほとんど同じ、ということです。(1枚のカードに1つのアイデアというのは「最小情報原則」を守ることになる)
「最小情報原則」を守ることと「自分の言葉で書く」ということは「知識を整理する」場合の全ての基本で、最も重要なこと。
「PKM」というものを考える場合には、なにはともあれこの2つのルールは常に頭においておかねばなりません。
デジタルなら誰でも簡単にZettelkasntenができる
ニクラス・ルーマンさんはこのZettelkastenを使って70冊以上の本と400近くの学術論文を出版し、最終的に彼は9万枚ものページを残したそうです。
彼が残した成果は素晴らしいことだと思いますが、これは、普通に常人には無理。(ですよね?)
9万枚のカードを整理して保管しとくとか、やれるかどうかっていうかやりたくない。保管するだけでも超大変だし、それを整理しておいておくのは超大変。
ましてやそれらの中から必要なカードを順番に人力で見つけてくる作業とか、想像するだけで恐ろしい。
多分こういう「大変すぎる」というのがネックになって、Zettelkastenにしても情報カードにしても、手法としての知名度に対して、実践している人というのはあまり一般的ではなかったという印象があります。
そこから大きく時は流れ、Zettelkastenと相性の良いデジタルツールが多数登場し、世界が大きく変わってきました。
Obsidian、Scrapbox、Roam Researchなどの「リンクベースで機能するノートツール」のおかげで、多くの人が「デジタルツールでZettelkasten」ができるようになってきたのです。
こういったツールの充実によって、色々な人が新しい概念、新しい使い方を生み出し、デジタルノート界は今非常に面白いことになってきています。
Zettelkastenを「デジタル最適化」したLYT
そういう流れで登場した「新しいデジタルノートの使い方」の中で私が一番影響を受けたのがNick Miloという人が考えた「Linking Your Thinking」通称「LYT」というObsidianでZettelkastenをうまく使うためのフレームワークです。
Guiding Principles of PKM - LYT Kit - Obsidian Publish
LYTはあくまでもZettelkastenをベースにしたものなので、まずは以下のZettelkastenの基本をきちんと理解しておくのが重要です。
カード1枚につき1アイデアを記入
カードの内容を完結させる
カードは常に他のカードとリンクさせる
カードのリンクが何を意味するかを説明する
自分の言葉を使う
参考文献を残しておく
自分の考えを加える
構造を気にしない
続カードを追加する
アウトラインカードを追加する
カードを削除しない
恐れずにカードを追加する
これを踏まえて、いかにして「デジタルノート」とうまく付き合っていくのか。
Nick Miloさんが考えたLYTや、その他さまざまなことを通して考えることは「自分に最適化したパーソナル・ナレッジ・マネージメント」に大いに役立ちます。
次回からはこういった「新しいデジタルノートの使い方」について、色々紹介していく予定です。
まず最初は「LYT」の中から私が最も影響を受けた「MOC」という概念、フレームワークについて紹介していこうと思います。
参考
効率的なノートを作成できるドイツの社会学者が生み出した方法「Zettelkasten」とは? - GIGAZINE
ドイツの社会学者ニクラス・ルーマンが研究と執筆の相棒にしたアナログのカード型ノートシステムZettelkasten(ツェッテルカステン)とは? | jMatsuzaki
LYTのページGuiding Principles of PKMは、現在はGuiding Values of PKMになっているようです。他にもリンク切れちゃったのがちらほら。
https://notes.linkingyourthinking.com/Cards/Guiding+Values+of+PKM
学生の頃読んだ「知的生産の技術」という本を思い出しました。