前回、本文の最初の方にごりゅごの今年のテーマ、というのをのせたままでニュースレターをお送りしてしまいました。
ごりゅごは基本的にこういう「細かいチェックをきちんとやる」みたいな能力が足りない1傾向があるんですが、このフレーズを気に入っていただけた人もいたみたいで、これはこれで、間違えたけど悪くない。
自分はこういう生き方しかできないので、不得意なことは「致命的な問題」にならないことだけ気をつけて、できることを活かした生き方を考えていきたいと思っています。
今回は、この間違えて中途半端に書いてしまった今年のテーマ「役に立つことを学ぶのではなく好きなことを増やす努力をする」ということについて、なぜそういうことを考えたのか、このフレーズにどんな意味があるのか、などについて紹介したいと思います。
役に立つことを学ぶのではなく好きなことを増やす努力をする
ごりゅごの2022年のテーマは「役に立つことを学ぶのではなく好きなことを増やす努力をする」というものにしようと思っています。これを選んだ理由は、何年も「効率化」を目指してきたことへの反動だと思っているんですが、単純にそれだけのものでもありません。
「効率化」「役に立つ」ということを目指すのは、長期的な目で見ると非効率で役に立たないことばかりになると考えるようになりました。
たとえば「役に立つ」という判断について。もし自分が今よりもっと「賢くなりたい」「能力を伸ばしたい」と感じているならば、自分がこれからやろうとしていることを「役に立つかどうか」で判断するのは間違いです。
現在の「未熟な自分」が「役に立つ」という判断は、果たして本当に信頼できるものでしょうか?未熟な段階で「役に立たない」と判断したことがあとになって重要な意味を持つなんてことは往々にして存在します。
スティーブジョブズは“You can’t connect the dots looking forward. You can only connect them looking backwards.”(未来を見つめて点を繋げることはできない。できるのは過去を振り返って点を繋ぐことだけだ)という言葉を残していますが、これは逆に「役に立つことだけをしていては点がつながることはない」という言い方もできます。
自分が未熟だと思えるのであれば「役に立たない」という判断も未熟な判断であり、正しいとは言えない。そう考えると、これは役に立たないことだから知らなくていい、やらなくていい、などという判断は「間違っている」とは言わないまでも安易に信じていいものではないはずです。
興味があることは学習の効果が高い
役に立つかどうかが自分で判断できないということを認められれば、今の自分に素直になり、自分が好きな、興味があることについて学ぶのが一番「役に立つ」ことだと言えます。
『Learn Better』でも言われているように、学びを深めるためにもっとも重要なのは学ぶことに価値を見いだすことです。(これはなんの役に立つだろうか、と考えるだけでも学習効果が上がるという研究結果もある)つまり「役に立つと思う」ことを学ぶくらいならば、自分が興味を持てる、学習効果が高い「好きなことを学ぶ」ことを追求していったほうが「効率良く」学習できて、結果的にそれが役に立つ可能性も高まるし、その方が人生は充実して楽しいものになります。
つまり、重要なのは役に立つことを学ぶのではなく、好きなことを広げて、増やしていくこと。好きなことであれば「自然に効率良く学べる」ようになるわけで、そうなれば意識せずとも勝手にどんどん「役に立つこと」を習得できていくようになります。
かつて「好きなことを仕事にする」などという言葉をよく見かけましたが、極論、ありとあらゆることが「好き」ならば、どんな仕事でも「好きなことを仕事にできている」と言えるわけです。
特に、クリエイティブなことを仕事にしようとする場合、好きなことの範囲というのはほぼそのまま「ネタの範囲」に直結する重要な項目です。好きなことが少ない場合、短期的な成果は出せるかもしれませんが、10年20年と続けることは難しいです。
そういう意味でも、まず考えることは「好きなことを増やすこと」で、そのためにはどんなことでも楽しめる、目の前のことに夢中になれる素直なマインドセットを身に付けることこそが「好きなことで生きていく」ために最も重要なことだといえるでしょう。
と、そういう感じの理由で今年は「役に立つことを学ぶのではなく好きなことを増やす努力をする」ということをテーマに1年を過ごしてみようと思っています。
ちなみにごりゅごは大変運が良いことに、去年から「本を読むこと」が「好きなこと枠」の上位に入ってきたことと連動して、新しい「好きなこと」「興味を持てること」が増えてきました。去年は「生命科学・有機化学」あたりを新しく楽しんで独学できたり、今年は哲学全般をものすごく熱中して独学できています。どちらも、役に立ちそうだから学んでいる、というわけではなく、好きで、面白くて、自分が知りたいと思って学べています。
哲学の分野とか、本当に限りなく知識がゼロだったおかげで、なにを学んでも全部知らなかったことだらけ。いろんな新しい概念を知るたびに「おおおそんな考え方あるのかすげー」みたいな感じで学ぶことができて、今一番の「娯楽」として存在しています。
哲学つながりで、今週は「哲学関連で学んだことをObsidianでまとめる」ということにも熱中していました。著名な人物のリストを作ったり、影響を与えた、与えられた人物をリンクで繋いだり、用語解説を自分で書いたりとか、時代別、流派別に人物をまとめてみたり等々。これもまた「好きで」こういうノートを作って遊んでる、というイメージ。
ほんの2年前くらいまで、こういうことをノートにまとめるのは「効率が悪い」「好きじゃないこと」だったんですが、決して効率が悪いことではありませんでした。こういうノートを作って得られるのは、書くことによる学習効果。書くことで「覚えられる・理解が深まる」ことだというのを、あらためて実感しています。
こういったObsidianの使い方というのは、多分Obsidianが想定している「ナレッジベースを作る」という概念のサンプルとしてものすごくいい素材です。せっかくなら、こういうサンプルは興味を持ってくれる人にお見せできたら役に立てるかな、と感じています。
2021年の年末に妻haruna1221がやっているコミュニティ「iPad Workers」有料メンバーの方限定でObsidianノート講座というのを配信させてもらったんですが、それに続いて1月末から2月上旬くらいにもういちど配信させてくれ、って頼んでみたいと思います。(今から相談するので、まだ開催などは断言できません)
前回の講座→[🎥 Obsidianノート講座(開催終了) - iPad Workers Newsletter](https://ipadworkers.substack.com/p/1219obsidian)
前回に引き続き、期間限定での加入(1ヶ月でやめる)でも問題ないので、気になる方はiPad Workersの加入などもご検討ください。(夫婦で財布は共通なので、1ヶ月のみの投げ銭的な加入歓迎です。加入いただける方が多いほど、ナレッジスタックを運営する余力が増えて、内容の充実に力を注げます)
また、ナレッジスタックとは直接関係ないんですが、知識ゼロから哲学を学ぶにあたって、図書館と同じくらい Kindle Unlimitedが役に立ちました。(家にいながらすぐに本が「無料」で読めるのはでかい)
何年か前まではアンリミ(Kindle Unlimited)で読める本は「ごく一部の出版社とインディーだけ」だったんですが、久しぶりにじっくり本を探してみると、当時の何倍もコンテンツが充実している印象があります。
ただ、こういう本は「探すコストがバカにならない」というのもあったりするので「知識ゼロから始めるKindle Unlimitedでの哲学入門」みたいなリストも近いうちに公開したいと思っています。
ということで、今回は「役に立つことを学ぶのではなく好きなことを増やす努力をする」というお話でした。
来週は、もう一度Obsidianでノートをアトミックにする、ということに関連する話などを書けたらいいな、と考えています。
『パーソナリティを科学する―特性5因子であなたがわかる』によると「神経症傾向が低い」という特性。最近この本から大きな影響を受けている。一般的に神経症傾向が高いと「心を病みやすい」が、大きな成功をしている人は神経症傾向が高いことが多く、特性というのは「善し悪しではない」ということがわかる本。