💎 問いの精度を上げる3つのプロンプトフレームワーク
生成AIとの対話を深め、思考の精度を上げる方法
👋 こんにちは、はるなです。
普段は✉️ iPad WorkersというiPad特化型のニュースレターを配信しています。五藤隆介(ごりゅご)さんの妻です。
今日のテーマは「生成AIと一緒に考えるために必要な問いの技術」についてです。
この連載「生成AIと考える技術」では、第1回で「生成AIと共に考えるとは何か」、第2回で「問いが自分を映す鏡になる」という視点を紹介しました。
今回はそこからさらに一歩踏み込み、「問いの技術」について考えてみます。生成AIをうまく使うために必要なのは、単なるツールの操作方法だけではなく、問いをどう設計し、どう磨いていくかです。これは思考の技術そのものであり、AI時代にますます重要になる力だと感じています。
良い問いには「解像度」がある
第2回で触れたとおり、AIは問いを鏡のように映し出します。問いが曖昧なら答えも曖昧に、問いが具体的で深ければ答えも豊かになります。
たとえば、「この文章を良くするにはどうすればいいか?」と聞くだけでは、小手先の表現を直す程度で終わることが多いです。ですが「この文章を、読者が最後まで読みたくなるようにリズムと構成を工夫するには?対象読者は30代のビジネスパーソン。読んだ後に具体的な行動を起こせるようにするには?」にすると、生成AIによる出力結果がまったく違うレベルのものになります。
問いの技術とは、いかに問いの解像度を高めるかということです。
「どうすればいいか?」という問いは解像度が低すぎます。これではAIも当たり障りのない内容をそれっぽく答えるだけになってしまいます。これは人間相手でも同じことが言えるでしょう。
一方で、「この文章を、読者が最後まで読みたくなるようにリズムと構成を工夫するには?対象読者は30代のビジネスパーソン。読んだ後に具体的な行動を起こせるようにするには?」という問いには、具体性と方向性が備わっています。
問いの解像度を高めるには、次のような工夫があります。
目的を添える
対象を絞る
条件を示す
これらを組み込むことで、問いの精度は上がっていきます。
3つのプロンプトフレームワーク
いきなり問いの精度を上げることは難しいので、最初は「問いの型」を覚えて、その型に当てはめるという方法が有効です。
世の中には多くのフレームワーク、つまり「型」と呼ばれる考え方の道具があります。これらはアナログに手を動かして書きながら考えるときにも役立ちますし、デジタルツールやAIを使うときにも同じように効果を発揮します。
今回は、その中でも特にシンプルで活用しやすい「3つのプロンプトフレームワーク」を紹介します。これは日常のタスク管理や学習の整理から、クリエイティブな企画や文章作成まで、幅広く使える型です。
🎭 RTFフレームワーク(Role – Task – Format)
ChatGPTに「どんな役割で考えるか」「何をしてほしいか」「どんな形式で答えるか」を指定する方法です。人間に依頼を出すのと同じで、条件をしっかり伝えると出力は期待に近づきます。
あなたはApple製品の専門講師です。
iPadを使ってノート取りを効率化したい初心者に向けて、ステップ・バイ・ステップで解説してください。
形式は見出し+箇条書きで。役割を「Apple製品の専門講師」と指定し、読者層を「初心者」と伝え、形式を指定します。さらにこの出力を元に何をしようとしているのかなど、使用目的を添えるとより良い答えが返ってきます。
🔄 BABフレームワーク(Before – After – Bridge)
「現状(Before)」と「理想(After)」を対比させ、両者をつなぐ「橋渡し(Bridge)」を求める方法です。
Before: iPadでPDFを読むだけで活用しきれていない。
After: デジタルプランナーで予定とタスクを整理できる。
Bridge: そのための具体的な手順を提案してください。BeforeとAfterを並べることで、「何をどう改善すればよいか」が明確になります。さらにAIに理想と現状のギャップを埋めるための橋渡しを提案させると、具体的なアクションプランへと直結しやすくなります。
🧩 SCQAフレームワーク(Situation – Complication – Question – Answer)
「状況」「問題」「問い」「答え」という流れで、論理的に整理できるフレームワークです。自分が感じている課題を客観的に書き出しやすいので、複雑な問題も落ち着いて考えることができます。
Situation: iPadを仕事用に使っている。
Complication: しかしファイルが散らかって探すのに時間がかかる。
Question: どうすれば効率的に整理できるか?
Answer: 実用的なファイル管理フローを提案してください。この型を使うと、背景から自然に質問につながり、最後に明快な答えを引き出せます。とくに業務効率化やトラブル解決の場面に強い型です。
AIと一緒に問いを磨いていく
問いのフレームワークに慣れてきたら、AIと一緒に問いを磨いてより精度を上げていくこともできます。問いを磨くといっても、難しいことは一切なくAIに素直に聞いてみればいいんです。このAIとのやりとり自体が、問いを磨いていくプロセスになります。
たとえば「この問いをもっと良くするにはどう言い換えればいい?」「この質問に足りない要素や視点はある?」とAIに尋ねます。すると、AIが別の表現や切り口を提案してくれるんです。それを見ながら「ああ、私はこういうことを聞きたかったんだ」と気づくのです。
AIは直接的な答えを出力するためだけでなく、問いのリファイン(再設計)にも使えるんです。
フレームワークは、アナログでもデジタルでも変わらずに効果を発揮する「思考の型」です。
今回紹介した3つのプロンプトフレームワークは、ChatGPTなどのAIとのやり取りを格段にスムーズにしてくれます。たとえば同じ「勉強法を改善したい」というテーマでも、RTFで役割と出力形式を指定すれば具体的な解説が手に入り、BABを使えば変化のプロセスが見え、SCQAを使えば論理的な解決策が整理されます。
こうした「型」を意識的に切り替えていくことで、自分の思考にも柔軟さが生まれ、結果としてアウトプットの幅が広がります。
繰り返し使ってみて、出力結果が思ったようにならないなと思ったら、そのことを伝えてみてください。何が違うのか、どうなって欲しいのか、言語化することで、よりよい結果が得られるはずです。
生成AIを使うと、より「問いの力」を実感しやすくなります。生成AIは問いを映す鏡のような存在だからです。そして、自分がどんな問いを立てているかを振り返ることで、自分の価値観や優先順位も浮かび上がります。問いによって進むべき方向を決めているとも言えるはずです。
問いの技術は、仕事や文章だけでなく、日常のあらゆる場面に使えます。
たとえば、読書をするとき。「この本の要点は何か?」と問うよりも、「この本を読んで、自分の仕事にどう応用できるか?」と問う方が得られるものは大きいです。他にも、日記を書くときも「今日は何があったか?」ではなく「今日の出来事から学べることは何か?」と問うと、文章の質が変わります。
問いの切り口を変えるだけで、同じ出来事から引き出せる内容が増えていきます。問いの技術を身につけることは、AIとの対話を豊かにするだけでなく、自分自身の思考を磨くことでもあるのです。


