プリズナートレーニングという自重トレーニング(筋トレ)を知って、実際に自分で試し始めたのが2024年の9月15日。(カレンダーに毎年表示されるようにしている)
今日は、ちょうどそこから1年間が経過した記念日です。1周年おめでとうの日です。
BC101 『プリズナー・トレーニング』 - by goryugo - ブックカタリスト
「習慣化が得意」なのは性格ではなくスキルとして獲得できるのではないか? - by goryugo - ナレッジスタック
プリズナートレーニングは大雑把に「6種のトレーニング」を少しずつレベルアップさせていく、というタイプのトレーニング。
基本的には「目標をクリアしたら次に進もう」「とにかく焦らずに確実に丁寧に進めよう」という指針はあるものの、具体的にどんなペースでトレーニングを進めていくかは、基本的に各人の判断次第。
ごりゅごはこの1年間を「1週間でBIG6メニューをそれぞれ1回ずつやる」という方針で進めてきました。
細かなやり方の変更はありましたが、この1年間ほとんど休むことなく、目標通りのメニューをきちんとこなすことができました。
1年やってみて、自分的にも今回のこのやり方は、すごーく上手に頻度と難度を設定できたなーと感じます。
せっかくなので、自己満足と自慢を含め、なにがよかったかを整理してみます。
紙のノートで記録を残したこと
まず、最初期の段階で明確に一番良かったと思えるのは、(デジタルではなく)紙で記録を残すようにした、ということです。
その理由のひとつは、 ↓ にも書いたような、やり遂げた感覚、通称「やったった感」を得られること。
習慣化したいことや継続したいことは紙に手書きをする - by goryugo - ナレッジスタック
そしてもうひとつ、これは「今回の場合」という条件付きですが、デジタルツールを使うよりも「すばやく前回と比較できた」ということがあげられます。
たとえばObsidianで「プリズナートレーニングノート」というノートを作れば、そこに「同じ記録」は残せるんですよ。
ただ、身体動作を伴った活動の記録は、デジタルツールよりもアナログの方が感覚的に「近い」感じがすること。また、プリズナートレーニングではスマホをペース確認用のツール(メトロノーム)として使っているのでデジタルノートは使いづらい、という理由なんかもあります。
「ちょっと前のメニューをすぐに確認できる」というのは、プリズナートレーニングの最初期では特に効果が大きいです。最初期のトレーニングはとんでもなく簡単なものが多く、どんどんどんどん「次」に進んでいけます。
そうなると、必然的に「前回なにやったっけ」を覚えておくのが難しい。
ノートを開くと、前回なにを何回遣ったかがすぐわかる。これだけのことだけど、この効果はめちゃくちゃ大きい。こういうのは、わざわざ紙に記録をすることの大きな効果だな、と実感します。
1回が短時間で終ること
そして次にうまくいった理由は「短時間」に済ませられるようにする工夫をした、ということ。
どんな習慣でもそうですが「始めたばかりの頃」というのは、やる気があふれているので、多少辛くても、長い時間がかかるものでも「やる気」が上回るので、いくらでもやれる気がしてしまうんです。
特に初級のメニューは、強度が低いが故に、ある程度回数をこなすタイプのものが多い。そうすると必然的に、1日分の目標をこなすのに時間がかかること多くなりがち。
たとえば、超簡単なブリッジのSTEP1は、クリア目標は50回 x 3セット。
プリズナートレーニングは「1回」に6秒かけるのが基本なので、50回こなすのに必要な時間は6 x 50 =300(秒)
つまり1セット分の運動時間だけで5分必要な計算。これを3セットやれば、それだけで15分かかるわけです。
現実的にはある程度の休憩も必要なわけで、それも考慮するとブリッジのトレーニングに30分以上の時間が必要になったりします。
これを週6回「ずっと続ける」のはかなりきつい。(もちろん、種目によって目標回数などはいろいろ異なる)
なので、ここは自分のライフスタイルを活かして「仕事の休憩として筋トレをする」という意識で望むことにしました。
「仕事の休憩」として5分のトレーニングをして「筋トレの休憩」として仕事をする。そして、また5分トレーニングをやる。
これならば、少なくとも「まとまった時間」を確保する必要はない。
そして、ある程度トレーニングの段階が進むと、運動強度が上がるので目標回数が少なくなります。
そうなれば、1セットはだいたい1回2〜3分になり、2セットやる場合でも、休憩込みで10分くらいで終わるようになります。
このくらいの時間ならば、仮に毎日でも、まあだいたいの日はトレーニングできる。(そしてこれは、次の段落の「辛くない」とも強く関わってくる要素になる)
また、偶然ながらも「9月から始めた」というのは非常に運が良いことでした。
9月から始めると、9月が暑さのピークで、そこから半年くらいは単純にとても涼しい。(暑くない)
超やる気があるうちには「汗をかきながらトレーニング」をして、だんだん「習慣」になってくる頃には、涼しくなって「汗まみれになって気分が悪い」ということが起こりにくい。
(つまり、これを読んでいる方々にとっては「今がもっとも始めやすいタイミング」だと言える)
そもそも全然辛くないこと
そしてここからは「ある程度慣れてから」の段階で明確に意識するようになったことです。
プリズナートレーニング、最初の頃のトレーニングは、とにかく強烈に簡単なんですよ。
簡単なので、どんどんどんどん回数を増やしていくことができて、どんどん次の種目に進んでいける。
ちょっとくらい「詰まる」練習があっても、6種類もトレーニングがあるから、毎週のようにどれかの種目で次のステップに進んでいくことができます。
どんどんレベルアップしている感があって、とても楽しいです。
とは言え、このトレーニングの最終目標は、片足でスクワットが50回できるようになるとか、片手懸垂やら逆立ちで腕立てなど、大抵の最終目標は「超筋トレできる人しか辿り着けない」というイメージのものばかりです。
もちろん、プリズナートレーニングの魅力というのは、この「超すごい段階に自分も到達できる気がする」ようにステップが分かれている、ということなんですが、実際のところ1年やってみて、まあほとんどの種目でそれは無理だな(できなくていいな)ということがわかってきました。
本の中でも「全部最後まで行けるひとは少ない」くらいの書かれ方をしているハードなものです。つまり、大抵の人はいつかどこかで必ず行き詰まります。
自分の場合そういう行き詰まりは、トレーニング開始から数ヶ月くらいで早くも実感することになりました。
毎日のトレーニングはけっこうハードなのに、なかなか次に進めない。
こういう、きついけど成果が出ないという状態は、モチベーションを保つのがとても難しいです。
1ヶ月2ヶ月くらいはそのまま頑張ってみたんですが、半年くらい経った4月ごろに、考え方を明確に変えました。
とにかくここからは、無理に回数を増やすことを目指さない。1回1回を超丁寧にやる方が重要である。そういう「超丁寧にやれる」くらい楽な回数しか目指さない。すげえ余裕が出来て、1回増やすことができたら、たまーに1回だけ「増やしてもいい」
こうすると、ほぼ毎日「ちょっと疲れる」けど、翌日に筋肉痛になる確率はほぼゼロ。少なくとも「今日は筋トレ疲れたー」なんて状態になることもない。
そして、1回のトレーニング時間は、大雑把に10分。
筋力トレーニングというものは「やらないよりやった方がいい」というのは、ほぼ100%間違いない事実だし、ほとんどの人はそれに同意していただけるでしょう。
仮に「全然辛くない」としても、やらないよりやった方が成果が上がるのは確実。
だったら、キツくてやりたくない → やらない、ってなるよりも、超楽なことをちょっとやる方がいい。
そう思い立って、すべての練習メニューを「超丁寧に確実にやれる回数」に減らしました。
どのトレーニングもたぶん「今の自分にちょうどいい強度」だと考えて、それを、少ない回数でいいから、めっちゃ丁寧にやる。
そして、ものすごく余裕が出来てきたら、やる気にあふれるときに限って「1回なら増やしてもいい」
そういうルールです。
筋力のトレーニングではなく「身体の使い方」のトレーニング
この「めっちゃ丁寧にやる」を実施するようになってから、自分がプリズナートレーニングというトレーニング、というか「筋力トレーニング全般」に対して思っていたことは、おそらく間違っていなかった、という自信が持てるようになってきました。
それは、プリズナートレーニングの本質的な目的は「筋肉を強化する」ことではなくて「上手な身体の使い方を覚えるトレーニング」だということです。
超乱暴な言い方をすれば、プリズナートレーニングの本質は「楽器の練習」と同じように、脳と身体動作を精密に結びつけるために反復をするというタイプの「脳のトレーニング」である。
そんなことを考えるようになっています。
(そもそも、楽器が「脳の練習である」と学んだのも最近のこと)
たとえば自分の場合、学生の頃に「走る」ことはそれなりに経験していて、そのためのトレーニングなんかは平均より多くこなしてきました。
当時やってたトレーニングと本質的に似通っている「スクワット」とか「腕立て」なんかは、かなり簡単に「上手にできる」ようになったんですよ。
ただ、逆に自分がほとんど意識したことがなかった「懸垂」(主に背筋を使う)だとか「ブリッジ」(これも主に背中側の筋肉)なんかは、鍛えるとかって言う以前に「上手に動かすことができない」「どう動かしたらいいのかわからない」という状態。(だったのだと今かなりわかるようになってきた)
これらのトレーニング、ほんとに最初は全然うまくできなかったんですが、目標を「回数」ではなくて「丁寧に・上手にこなす」ことにして練習していくと、かなり「できる」ようになってきたんですよね。
この「できる」というのは「回数がこなせる」という感覚ではなくて、もっと上手に体全体を動かして、より少ないエネルギーで同じ動作が出来るようになってきた、という感覚です。
特に背筋に関しては、今やっと「ここをこうやって使うのか」というのが、言語だけで表現するのは困難なレベルで「わかってきた」という実感があります。
そして、ここにいたってようやく、鬼門といわれるプルアップのSTEP2「ホリゾンタル・プル」を「クリアできるイメージ」を持つところまでは進むことができました。
「前倒し」「リカバリ」が超簡単なこと
こういう風に、目標を「上手にこなすこと」にすると、次の段階まで進めなくても、なんにも気にならないようになってきました。
回数が増えるんじゃなくて、主観的に上手になってればよくて、気が向いた時に「1回だけ増やす」くらいで十分。これで満足できる。足ることを知る。
なによりも、これだけ運動力が少なければ、1日の目標は超短時間でクリアできます。だから、あらかじめ忙しい日やお出かけをする日の前には前倒しでトレーニングを進めておいたり、やる気がなかったときに1回や2回スキップしても簡単にリカバリができます。(3種目くらいなら、さほど負荷なくこなせる)
「きちんと記録を残して」「簡単なことを」「丁寧に」「少しだけやる」
こういうルールにしてたおかげで、1年間ちゃんと目標通りやる、というのが主観的にはほぼまったく苦労することなく、簡単にクリアすることができています。
(1回だけ、ジョギングで足を痛めた時期に1週間休みにした。が、これは明確に意図を持ってやめていて、その時期以外は本当に全部「できた」と言える状態です)
まあ、トレーニング初めて1年経った今でも、体重とか、体重計で計測できる筋肉量とかは全然変わってないです。
自分で自分を観察するかぎり、主観的にはけっこう筋肉が発達してきたとは思うんだけど、数字は甘くない……
この辺が「数字として現われてこない」ことは寂しいんだけど、それでもまあ十分に楽しめていて、きっと健康にもいいものではあるので、まあそれでいいかな、という感じです。
そして実はこの方法もまた少しずつだと間違えないから気分よく続けられる で書いたことと根本はつながっていて、基本的に「続けるコツ」みたいなのには共通した特徴があるんだなあ、ということを改めて感じます。
つまり「習慣化」は「学んで・練習すれば」ある程度まではできるようになる。
そんなことも改めて感じた次第です。
始めるなら、これから涼しくなる今が一番オススメ!
『プリズナー・トレーニング』 - ブックカタリスト(書籍リンクもこちらから)